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John W. Dower 三浦 陽一 高杉 忠明 田代 泰子

岩波書店

カテゴリー:Book

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税込価格:¥ 2,730  (定価:¥ 2,730)

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カスタマーレビュー

日本の「戦後」の原点  (2007-06-27)
米国における日本史研究の大家、ジョン・ダワーが著した本書『敗北を抱きしめて』は、敗戦からサンフランシスコ講和に至る占領下の日本の7年間を生き生きと描き出すものである。占領軍による改革は勝者による「押し付け」であったとし、その産物である戦後民主主義に対して否定的なスタンスを取る言説は今なお根強い。しかしながら著者は、「押し付け」の構造があったこと自体は肯定しつつも、しかし敗者の側を一方的に受動的な存在であったとみることを拒絶する。単に「勝者が敗者に何をしたか」ではなく、日本占領を「抱擁」として捉え、敗者が勝者にどのような影響を与えたのかに着目するのである。

下巻では天皇の「人間宣言」、新憲法制定、東京裁判が描かれ、敗者たる日本の保守指導層が「上からの革命」を変質させ、戦後の「天皇制民主主義」を築き上げていく過程が描かれる。さらに、日本の経済成長を支えることになり、かつ米国が批判してやまない日本の官僚主義的資本主義についても、実はそれが占領期における「日米合作」の遺産だということが論じられている。

「戦後レジーム」からの脱却が叫ばれる今、そもそも日本の「戦後」とは何だったのかを考え直す上で本書は避けては通れない一冊であろう。
「日本はどうすれば、他国に残虐な破壊をもたらす能力を独力で持つことなく、世界の国々や世界の人々からまじめに言い分を聞いてもらえる国になれるのか?」(下P427)
岐路に立つ今、ダワーのこの問いかけは重い。

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やりたい放題  (2007-01-31)
上巻とは違い下巻は、占領政策の核となる部分の話である。一つは、戦争犯罪人および東京裁判の話である。もう一つは、アメリカ軍による思想統制の話である。要は検閲である。
日本に自由と民主主義を植え付けるという名目で、思想統制を行い、知恵のあるものを裁判に送り、やりたい放題である。思想統制すなわち検閲は、GHQの構成員個人のスキャンダルを含め名誉を維持するためのものから、反共産主義の防波堤のための国家づくり至るまでありとあらゆる場合で行われている。しかも、確固とした基準があるわけでもなく、むしろ行き当たりばったりで、勝者による敗者いじめ以外の何物でもないようにしか思えない。特に東京裁判はひどいものである。ここ数年間は夏恒例のテレビで東京裁判を取り上げることはなくなったもの、何度も見た経験からその酷さはよくわかっている。そもそも、裁く立場にある判事は、英米法の知識どころか、実際の国際裁判に関する知識も何もない人間たちで構成されている。まさにアメリカおよびイギリスの操り人形にしかすぎない。ハル判事の反発も見事なまでの無視である。大東亜戦争を正当化する気はないか、彼はあくまでも勝者が敗者をたたくためのものでしかありえない。
このような情報統制、思想統制は、アフガニスタンやイラクでも行われていることであろう。日本の占領下は、総力戦を10数年にわたり戦いぬいてきたために、精神的にも肉体的にも規制してきたために比較的簡単に統制がうまくいったのであろう。もちろん、日本人の自由意思感覚のなさや勝ち馬に乗るという独特の思考問題も抱えているだろうが。アメリカ人やイギリス人のこのような感覚での海外での展開は、決して平和をもたらすものではなく憎しみを増加させるだけのものであろう。
この本は、上巻とのカスとり文化のような大衆文化の話よりも、政治的思想統制の話であり、下巻の方がかなりの価値を持つと思われる。

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植民地弁解本なんじゃない?  (2006-04-25)
最初に読んだ時は圧倒的な資料と綺麗な言葉で感動させられたがよくよく考えてみるとアメリカは開放軍と迎えられてアメリカの作った新憲法は結局良かった。日本のアメリカ化は正しかったといいたい本なんじゃないかと思った。そう思った一番の理由は米英を攻撃した理由を後先考えず場当たり的に攻撃したと説明されてたからです。たしか本当は西側諸国の経済封鎖に追い詰められて切羽詰ってやけくそになって戦争したのが真実だったはずです。裁判の発起人であるアメリカが仕掛け人だからこの裁判偽善だと言ったのがパル判事の主な主張だったはずです。最近の日本の没落はアメリカの新教育で日本人がバカになったからだと思う。それをWW2で後先考えず場あたり的に攻撃したと説明して今回の没落もそれと同じことだと説明するダワーの誠実さに疑問に感じます。
非常にやっかいな植民地弁解本だと思う

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口承歴史  (2004-09-28)
本書を読んだときに、私が違和感を感じ立ち止まってしまうのは、口承歴史(oral history)と公的歴史の差なのかもしれない。歴史の時間で教えられる歴史以外に、自分を取り囲む人たちから口で伝えられた歴史があるからかもしれない。それは、軍部の堕落であり、戦中のプロパガンダであり、闇市であり、共産主義の台頭であり、天皇制がいかに日本の歴史において機能してきたかということである。それでも、私に口承歴史を伝えてくれた人々は、悲惨な歴史の中でも生き延びるためにその人たちが発揮した知恵と、自分の国と国の歴史に誇りを持つことの大切さであった。本書は、この口承歴史と公的な歴史のハザマを行っているような気がしてならない。

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今日の日本の基本設計はこうして作られた  (2004-03-08)
このような本が、これまで日本人によって書かれなかったことが不思議でなりません。確かに、日本人では入手できない資料があったのかもしれません。しかし、このような本がアメリカ人によって初めて書かれたということ自体が、戦後の(そして今日の)日本の歩みそのものを象徴しているように思われてなりません。

1945年の敗戦間もない頃、日本はやすやすとアメリカの言う「民主主義」をありがたく受け入れました。同時に、天皇制はそのままに官僚主義をも温存、いやむしろ、強化してきました。

極東軍事裁判を前に、このような基本的な枠組みを残すことに腐心した当時の占領軍の意図を知ると、空恐ろしい気持ちに襲われます。民主主義の衣をまとったものの正体はなんだったのでしょう。その正体を、ベトナムやイラクで、そして沖縄で私たちは見ているのかもしれません。
多くの貴重な写真が、知らなかった歴史の隙間を見せてくれます。

「もう戦後ではない」と言われてどれほど経つでしょう。しかし、まだ、戦後が続いているのかもしれません。

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