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岩波書店
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私たちのための勝利者
(2008-08-31)
著者は、ベートーベンの全生涯のもくろみを「歓喜」としている。
ベートーベンは、ウィーンから良い生活が送れるように守られているわけでもなく、彼は長い期間貧しい生活をしていた。
そして耳に病気を抱え、音をうまく聞きとれないのに作曲活動を続けていたことはよく知られているが、耳だけでなく体のいたるところに病気を抱えていた。
恋愛においても、不運が付き纏い、想いを寄せていた相手と結婚ができなかった。そして「つんぼです」と言えないがために、彼は社交を避け、よりいっそう孤独に陥る。
これらの不運を見るだけでは、私たちはベートーベンから得られるものは少ない。
しかし、ここが重要な点だが、彼は「勝利者」であった。 彼はこれらの運命・悲哀に打ち勝ち、「歓喜」をつかんだ勝利者であった。
この過程をベートーベンは1つの金言により表している。
『悩みをつき抜けて歓喜に致れ!』
彼はなぜ「歓喜」をつかみたかったのか?なぜそのために曲を作ったのか?
それは、貧しい人の運命を改善するためである。
つまり、ベートーベンは我々のために(つまり他人のために)勝利者となったのだ。
彼自身を見ると私たちは苦しみや敗北などしか見出すことはできない。しかし、彼は勝利者となることで、それらの苦しみを浄化してくれたのだ。

歴史の選択に残れるか?
(2008-08-18)
この作品が執筆されていた頃はベートーヴェンのヨゼフィーネのへの熱烈な恋愛がしたためられた「十三通の恋文」がまだ、発見されていなかったので、ロランは不滅の恋人の相手をテレーゼにしているが、これは誤りだった。
ロランは偶然かどうかこの新発見のわずかばかりの後に死んでいる。
歴史は資料の発見などにより更新される運命にあるが、これはロランにとっては大きなショックだったといえる。
確かにロランのベートーヴェンへの敬愛が強過ぎたとは言える。
だが、ベートーヴェン研究に一鍬加えた作品である。

精神性高く立派なベートーヴェン
(2008-05-31)
感動的だった。ただ、ロランのベートーヴェン像は実際のベートーヴェンと
どれだけ一致するのか、という疑問も持った。
ロランのベートーヴェン像は神格化されていると言ってもいいくらいに立派な人間だ。
しかし、ベートーヴェンは自尊心が高くわがままだった、という話も聞く。
この本ではそうしたことは全く描かれていない。
感動的だったが、この本に描かれるベートーヴェンはロランによって神格化されてはいまいか。正しいベートーヴェン像に近づくためには、他の本も参照しなければ、と思った。

ベートーヴェンへの賛歌
(2007-12-20)
決して読みやすい本ではありません。
分量は多くありません。無駄がないのです。
しかしながら、こんなに人々に大きな励まし、勇気を与える本を私は知りません。
それだけ迫力があり、メッセージ性の強い本です。
もはや単なる伝記の域を超えたところにある名著です。

何度でも何度でも立ち上がる
(2007-02-26)
ここに書いてある事に限って言うならばベートーヴェンの人生は、
子供の頃は親父に金儲けの道具に使われ、甥っ子に目を掛けるものの、
裏切られ、その甥が借金で首が回らなくなったり、自殺未遂されたり、
うっす〜いラブ体験をもとに『交響曲第4番(「のだめカンタービレ」の
音大編で使われていたアレ)』を作曲するも、その直後に婚約破棄と
なったり、貴族からウィーン居住のみを条件にスポンサーの申し出を
受けるもいつの間にかその約束も反故にされたり、一躍時の人に
なったかと思いきや、ブームが去ると相手にもされなくなったり、
『交響曲第9番』で復活を印象付けるも公演の利益殆ど無かったり、
挙句の果てには慢性の難聴と下痢に苛まれていたと、見事なまでに
『特急列車には乗れるんだけど接続が悪くて目的地までの時間が
異様に掛かる』程の運の悪さは昼メロ並みの不幸街道まっしぐらな
ストーリーを彷彿とさせ、まさに音楽以外では不器用そのものだった
ことが伺える。
それでも、音楽に対するモチベーションを失わず、前に進む力は
どこから湧き上がって来たのだろう?先述の『交響曲第4番』は付き
合っている女性の存在があってこそだろうが、他の殆どの作品は
生活の為か、負のパワーのいずれかで見事に作品に変換しているのだ。
それを考えれば、今の自分の立場でも、何が出来るか考え、それが直ぐに
でも実行出来るような気がするのだ。

