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岩波書店
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カスタマーレビュー ![]()
ソクラテスの最期
(2007-04-16)
ソクラテスが刑死する直前に、弟子達に語った「魂の不死について」の話。
「人間は魂と肉体からできており、死ねば肉体は消滅し、魂は消滅せずに冥界へ行く」というソクラテスの考えに対し、弟子達が「肉体が消滅すれば魂も消えてしまうのではないか」とか「肉体が消滅した後魂が残っているとしても、それが不滅かどうかはわからないのではないか」といった問いかけと共に鋭く反発し、さらにソクラテスがそれに対して自説を証明し、弟子達を納得させるという構成。
ただ、この人達は細か〜いところまでおかしいと思ったところは何でも考えこむのに、人間は魂と肉体でできているっていうところだけは何の疑いもなく信じてしまってるところは可愛らしい(笑)
自分が毒杯を仰がなければならないまさにその日に、弟子達と「魂の不死について」を語り合うとは流石ソクラテス(笑)
そして、その状況を対話篇にしたプラトン。
プラトンの文章は本当に上手だと思う。
ソクラテスが実際に語ったことと、プラトンの想像(創造)と、両方混ざってるんだろうけど、とてもわかりやすい。哲学をかじったことがない人でも大丈夫だと思います。
ソクラテスが毒杯を仰ぎ、死んでしまうところで文章が終わるので、最後は少し悲しいかも(ソクラテスは全く悲しいことでもなんでもなく、弟子達が悲しむ必要も全く無いと思っているのだが、その理由は本書を読んで下さい)。
「死んだ後、人間の魂はどうなってしまうんだろう?」と考える人は、ソクラテスに説得されてみて下さい。

人の命の不滅性
(2007-02-09)
本書で書かれている対話の論理の進み方は現代人には到底受け入れられる内容ではないでしょう。しかし、プラトンがこの「パイドン」で
示そうとした想起説とイデア論を理解するためには、ある種の経験が必要なのかもしれないです。そういったことも視野に入れると、
この対話の意図はまたちがった角度から理解すべきものに感じます。
理論としてのイデア論はむしろ「国家」のほうが詳しいようにおもいますが、人の命の不滅性を証明しようとする本書には
ある種の霊性の美しさを感じます。
また最後の部分で、神話でしか語りえなかった部分についてのプラトンの心情は何でしょうか。
論理というよりもなにか、直観的に共鳴するところがある作品です。

哲学は面白い。
(2007-01-22)
内容としては、死刑が決まり、死を前にしたソクラテスが、
逃亡をすすめる弟子たちに対して、魂の不滅を証明するというもの。
文章は非常に平易な口語体で、劇の台本のように、対話形式で進められる。
そのため、「魂の不滅の証明」という高度なテーマにも関わらず、非常に読み易い。
何百年も前の作品であるので、現代人の感覚としては、
受け入れ難い部分や、理屈として考えられないような部分が存在するのも確かだが、
随所で非常に興味深い考察が見られる。
哲学書としてだけでなく、単純に読み物としても非常に楽しめるので、
哲学に興味がある人にもない人にも、お勧めの一冊である。
人生の終焉の為のバイブル的作品。
死ぬまでには是非一度読んでおきたい。

心を育ててくれる
(2007-01-07)
別に、ここから、強い哲学的関心を引かれなくてもいいと思います(哲学的関心がないと、おそらくこの本を手にしないだろう、という不安はとりあえず置いといて・・・)。
ただ、読み進めていく中で、確かに難しいところもあるし、魂の循環性という非科学的(だが、説得的)なことも述べられていて、ん〜と悩む人も多くあると思う。
その中で、1つ、得て欲しいものがある。それが肉体的な欲求ばかりにとらわれずに生きる(普通の人間にとって最も難しい)ことである。しかも、その点は目に付き易い。
決して単なる「死、推奨」の本ではない。ソクラテスが、生よりも死を善とするのは、生きている時の行いが正しくない限りあり得ない。特に、文明人には最も難しい。現在の生活を省みるという点でも、この本を是非。

大ソクラテス、ギリシャの吉田松陰
(2006-12-28)
”これが、エケクラテス、われわれの友人の最後でした。われわれの知りえたかぎりでの当代の人々のうちで、いわばもっとも優れた人の、そして特に知恵と正義においてもっとも卓越した人の、最後でした” このパイドンの言葉をもって本書は完結する。私は、魂が不死であるかどうかについては、正直明確な答えをいまなお持ってはいない。しかしながら、彼のような、このような泰然自若とした、清明なる死を、自分の昇天の暁にはぜひ迎えたいものだとの思いを胸に、今キーボードをたたいている。嗚呼、ソクラテス、なんと高潔かつ偉大なる人物であろうか。彼の影響を恐れた為政者らが、これを亡き者にしたことは、無念この上ないけれど、至極当然であろう。彼らはソクラテスを恐れたのであった。師ソクラテスの刑死(毒を自らあおる)の際、弟子プラトンはその場にはいなかった。パイドンより聞き及び、事後、本書を記した形となっている。だが、ソクラテスのこの死はプラトンを奮いたたせた。その場にいなかったが故に、なおさら彼の精神はその偉大なる死に共振したのであろう。プラトンはその季節“ソクラテス”となったのである。偉大なる者の高らかな死は、誠なる者達の魂をまさしく奮いたたせる。この意味では、ソクラテスは日本の吉田松陰である。松陰先生は、刑死の前日、自身の意志をつがせるべく、その“意志”を文(ふみ)としてあとに続くものたちに残した。その遺訓に奮い立った維新の志士達は、おのが命と引き換えに、松蔭先生の魂とともに、新生日本を創生させたのであった。この明治維新の原動力となったその書を『留魂録』という。偉大なる者の死はあとに続く誠の志士たちの精神を強固・不動にする。その意味では、ソクラテスが言及されたように、まさしく”魂は不死”なのであろう。本書はギリシャの『留魂録』である。大ソクラテス、ギリシャの吉田松陰の魂よ、永遠たれ。

