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Jakob von Uexk¨ull 日高 敏隆 羽田 節子
岩波書店
カテゴリー:Book
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発売日:2005-06
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カスタマーレビュー ![]()
井の中の蛙が見る世界
(2008-08-20)
我々が見ている景色は犬、ハエ、カタツムリにも同じように見えているのか。我々は単純にそう思いこんでいるが、実はそうではない。カタツムリには家の屋根も、看板も、車も見えていない。ただ平面的な大まかな形の輪郭が見えるだけである。人が見ているシャンデリアとハエが見ているシャンデリアは形が違う。コクマルガラスはキリギリスが動いたときだけしか、それが見えない。またある種の闘魚が映画を見ると静止した絵が次々に出てくるだけで、1秒間に50枚フィルム送りしないと動く映像としては見えない。実際に軟体動物には景色がこのように見えるという図を見せられると、目からウロコが落ちるどころか「えーっ!」と驚くばかりである。この書ではそれぞれの動物が知覚する世界を環世界(日高氏の訳語)と名づけ、その環世界によって行動が規定されることを説明している。
翻って人間は皆同じように世界を見ているのか。実際には子供と大人では遠近感が異なる。レストランのレジでお札を折って立てて置いたら店員には全然見えなかったという例も紹介されている。これから飛躍すると、同じ境遇の中でもAという人とBという人では環世界が違うことを示唆している。我々はそれぞれが井の中の蛙になって世界を見ているのではないだろうか。自分の観察眼や世界観は本当に客観的なのか。自分を物差しにして他人を測るということをしてはいないか。一度疑ってみる必要があるのではないだろうか。我々がいかに先入観にとらわれているかを考えさせる本であった。

古臭いが面白い
(2008-07-22)
1933年の出版ということもあって、エーテルの考え方等が背景にあり、結構古臭いと思われるが、内容的にはなかなか面白い。
いろいろな生物から見た世界と我々人間社会から見た世界が、どのように異なるか。
イヌとか猫の目線では、この世が、この世間がどのように見えるのかということは、ペットを買う我々人間としては従来から興味のあったことだ。
この目線を哺乳動物以外の下等動物まで押し下げて、ダニ、ミツバチ、ツタノハガイ、ハエ、軟体動物、闘魚のベタ、ウニ、クラゲ、ゾウリムシ、カタツムリ、ガ、ジャノメヤママユ、キリギリス、コオロギ、コクマルガラス、イタヤガイ、ヒトデ、ミミズ、エンドウゾウリムシ、まだまだあるよ、ホンムクドリ、モグラ、カササギ、犬チャン・ネコちゃんと熊ちゃん、そしてヒキガエル、彼らはどのように考えて行動しているのかを考えて見ましょうという生き物生態学、これを良かれ悪しかれ「環世界」と認識しているのだ。
輪廻転生のこの社会、この平成の極楽浄土・平和バカ社会をうまく生き抜くためにも、今度生まれ変わった時のことを考えて次世代には、ウニになっているかもしれないし、コクマルガラスになっているかもしれないので、彼らの生態系を今から考えておくのもそれなりに意味があることかもしれない。

生物理性批判
(2008-04-25)
誰しもが一度ならず耳にしたことがあるであろう童謡「手のひらを太陽に」。
太陽の下、「おけらだって、みみずだって、あめんぼだって」、そしてヒトだって、みんな
みんな同じ世界を共に生き、そして同時に各々が全く別の世界を見出す。
全く別の世界、つまり各々の生物に固有の知覚と作用に基づいて構築される、各々の生物の
「環世界Umwelt」の多様性を開示すること、そしてすべての生物は一様に主観を免れえない、
との主張からして必然的に、客観的な自然とやらの認識の可能性は否定されねばならない、
それこそがこの『生物から見た世界』の主題。
この本の新しさの一つは、単に種の差異を遺伝的要因のみによって説明するのではなく、
その「環世界」の差異によって特徴づけようとする点にあるように思う。
実に驚くべきアプローチだ。
無論、こうしたユクスキュルの議論の背景にあるのは、かのエマニュエル・カント。
要は、「現象と物自体」や「コペルニクス的転回」の議論を、生物学の観察や実験の成果に
従って再構築したら、こうなりました、という話、と言って言えないこともない。
このテキストを読むにあたって『純粋理性批判』を参照するのは極めて正統な手法である
ように思う。ただし、その整合性については私の知る限りではない。

自然の中にある生物の環世界という混沌
(2008-02-24)
一つの事に対して、多面的に見るように、
と言われて実際どういう事か、説明するなら。
この本を読んでみればいい。
昆虫と機械との違いから、感覚からえる情報、状態による反応の違い。
そして、多面的に客体を見る。人間の興味からも一つの物事から受ける反応は、
人様々。地球は混沌としている。
その中を人間がばっこし、環境をいいように改良していくことが、果たしていいことか?と、あとがきは書かれている。
それを考えると、有りとあらゆる物は環境で非情の運命を持っている。口の中の細菌は、歯を磨くたび除去される。便として出て行く無数の死骸。人間の中の環世界もあるのである。そう考えると、一人の人間の生きる重さも感じずにはいられない。

クリサートくん
(2007-02-08)
いや、もう蛇足ですが、
共著者の、クリサートくんの図版のキモタノシイ感がすばらしい。
五月女ケイ子か吉田戦車か、って感じ。
いや、ユクスキュルさんもとうぜんおもしろいですが。
遠洋性クラゲの絵を見せると多くの子供は爆笑するか泣き出します。

