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岩波書店
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カスタマーレビュー ![]()
高校時代に出会いたかった本
(2007-03-15)
相対性理論までの物理学の入門書として未だに最高作であろう。説明は簡潔だが、不親切ではない。物理だけではなく、例えば高校数学に出てくる「ベクトル」というものの存在意味も理解させてくれる。ただ量子論の部分は少し分かりにくいと思う。アインシュタイン自身が、量子力学にいくらか懐疑的なところがあったからだろうか。それでも講談社ブルーバックスの存在意義をこの一冊で半減させてしまうほど素晴らしい本であることは間違いない。

観念の世界と現象の世界との関係
(2006-10-01)
あのアインシュタイン博士とインフェルト博士が、「人間の心が観念の世界と現象の世界との関係を見つけ出そうと企てたこと(世界の実在に対応するような観念を科学の名で案出してゆくところの原動力)」について述べたもの。上巻では古典物理学の概要、下巻では現代物理学(相対論、量子論)の概要が示されていた。物理を専門としていない自分にとっても、わかりやすい記述となっていた。「世界の実在に対応するような観念を科学の名で案出してゆくところの原動力」を「科学の上で大きな進歩の見られるのは、殆どいつも理論に対していろいろな困難が起り、危機が出遭った際にこれを脱却しようとする努力を通じてなされる」さまを見ることによって実感できたと思う。

物理学はいかに創られたか知る一冊!
(2006-08-06)
アルベルト・アインシュタイン…この名前を聞いたことのない人はいないであろう。アインシュタイン博士は、相対性理論を筆頭に物理学における数多くの理論を築いた天才である。そんなアインシュタイン博士が書いた本が本書である。
さて、“物理学はいかに創られたか”は上下巻に分かれており、本書は上巻である。上巻の内容は、ニュートンの方程式や万有引力の法則の発見から始まり、電気および磁気における物理現象を語り、最終的にマックスウェルの方程式で締めくくられる。下巻の内容は、相対性理論が生まれてきた歴史を振り返ることから始まり、量子論の初歩的な部分を解説して終わる。
本書の良いところは、単に物理法則を語るだけではなく、物理学の歴史を振り返りつつ、その当時起こった論争がどのように解決されてきたかということが記述されているところである。今日では当たり前と思われている法則が先人の知恵と努力により築かれたことを実感できるであろう。
…というように内容には満足なのだが、難点もある。その難点とは以下の3つである。
・ 訳が自然な日本語になっていない箇所が多々あること
・ 今では使わないような日本語表記が多々あること
・ 図を使えば簡単に解説できるようなことを延々と文字で解説していること
上記の難点より、物理を学んだことのない人が本書を読むというのは難しいと思う。とはいえ、本書が名著であることには変わりはない。本書の初版を見ると1939年10月30日となっている。1939年といえば、日米開戦の前である。これほどまでの長い月日を経てなお本書が読み続けられていることに驚きを感じずにはいられない。物理学を志すなら読むべき一冊である。それは、文学を志す者が古典の代表作である源氏物語などを読むのと同じようなものかもしれない。

ノーベル物理学賞・小柴昌俊氏が物理学に目覚める契機を与えた好著(上巻)
(2006-02-04)
他のレビューで本書の素晴らしさが語れているので、別の話を。
小柴昌俊少年は小学校時代いたずらっ子でした。しかし、あだ名は「兎ちゃん」。本の読みすぎで目が充血していたからで、それ程の「読書の虫」でした。
中学に進んでまもなく、小柴少年は小児麻痺で長期入院します。そんな折、担任の先生が持ってきてくれた本が「物理学はいかに創られたか」でした。小柴少年は2日で読みきり「物理学っておもしろいんだなー」と感動したそうです。この時のこの感動が、小柴先生の研究人生に好影響を与えていたのでしょう。全ては感動から始まるのですね。
小柴少年が受けた感動を、貴方もこの本で追体験してみませんか?(^-^)
幸いなことに、この本の以前の版は旧字体だったのですが、最新版では新字体になっているので、読みやすくなっています。小柴少年がフォロー出来るくらい、数式も意外なほど出てこないので、文系な方も比較的取っ付きやすいと思います。詩的表現や哲学的内容に驚かれることと思いますょ。寺田寅彦先生の言うところである「研究者的態度」「科学魂」が学べます。「創られた物理学を学ぶだけでは試験勉強と同じ、新しい物理学を創るのとは違う」と主旨を仰った湯川秀樹先生の真意も良く分かります。

物理学は、「人は自由な創作をする存在である」ことを示している
(2005-12-22)
もう40年近く前に物理学の勉強の一環として読んだことがありましたが、今回再読してみて、人間が何かを認識するということはどういうことなのかという、哲学的側面からもとても面白く読むことが出来ました。以下に上巻と下巻の両方をまとめて記述します。
著者らは本書の目的について、序文に次のように書いています。『私たちの目的とするところは、むしろ人間の心が観念の世界と現象の世界との関係を見つけ出そうと企てたことについて、その大要を述べていこうとする点にあるのでした』。つまり本書は、哲学の本でもあるのです。
本書を読み進めると、本書内の記述にもあるように、『物理学の観念は人間の心の自由な創作である』ことがよくわかります。それは、こういうことでしょう。物理学で人が対象を認識するにはその対象を良く観察して本質を洞察することがなにより重要ですが、ただ観察しても何も見えてはきません。そこには、何かを見ることを可能ならしめる何かが必要となります。それは、そのような意思に加えて、現実には実現し得ないところの思考実験と論理的に矛盾しない仮説であり、まさにそれは人間の心が生み出す創造物です。自由というのは、この思考実験と仮説を創る自由でしょう。物理学はもちろん実験や観測によってその理論の妥当性を検証しますが、それは実験や観測という手段により条件づけられますから、理論は果てしなく続く事になります。
本書で取り扱っている物理学の分野は古典力学や電磁気学から相対性理論や量子論に及びますが、その発展には共通して上述したような人間の心の働きがあることを本書は示しています。だから、読んでいくとその意味が次第に不明になってくるのは知識に基づくのであって(特別な実験と観察は次第に日常世界から離れていく)、人の心(考え方)に基づくものではありません。物理学が得意でない方は上巻の 1(力学的自然観の勃興)の箇所だけ読んで、出来れば質量について、当時はまだ「慣性質料」と「重力質料」が区分されていた意味を理解すればあらかた本書の意図を汲み取る事が出来ると思います。

