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朝日新聞社
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権力を持たない中心
(2008-06-25)
先日、雑誌の対談を読んでから、「中心に権力を持たない社会」というようなものを考えていて、それからこの本を読んでいて、ナバホの伝統的な儀式「サンダンス」を、チーフ、リーダーとして受け持つ人の話がなんだか繋がる気がした。
河合さんが「チーフになる人はどうやって選ばれるか」と質問すると、相手は「自然」に決まるのだと答える。
「私はほんとうにどうしてか知らない。あるとき、あなたは座っていて、次の日には、あなたは人を助けている。そうして、あなたはチーフになっている・・」
なりたいと思ったり、要求したりするわけではなく、「そうなっていたのです」と答える。
じゃあ、そんなふうにしてなったリーダーが勝手に自分の気に入るように行動し始めたらどうなるのか。と訊くと、これも単純な答えである。
「自然に人は離れていく。ふと気がつくと、周りに誰もいなくなる」
「誰も平等である。中から自然に選ばれたからといって偉いわけでもない。偉いと思った瞬間に人々は離れていく」
1920年代に、ユングは、西欧人がまったく軽視していたアメリカ先住民族の長に会ったときの驚きを書いていて、その長の顔に衝撃を受けたという。その「悠然とした落ち着き」に感嘆する。ヨーロッパでは見られない顔だと感銘を受けた。
河合さんは、現在ならともかくこの時代に、「ヨーロッパの影の部分を認識していた」ユングの先見性に驚いている。
「われわれの観点から植民地化とか、異教徒への宣教、文明の拡張などと呼んでいるものは、別の顔を持っている。つまり残忍なほどの集中力で遠くの獲物を探索する猛禽類の顔付きであり、海賊、野盗といった悪人どもにふさわしい相貌である」
今さらの社会のシステムの頂点に、「悠然とした落ち着き」のリーダーの顔など見られるだろうか。

