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講談社
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カスタマーレビュー ![]()
近代を準備したイスラームの世紀
(2008-01-07)
中東に興った一宗教であるイスラームは大帝国を築きあげ、中世には世界的な繁栄圏を形成する。科学、文化、芸術はまちがいなく世界一であり、ヨーロッパやインド、中国とネットワークを形成し、近代世界を準備する環境を用意していった。それはひとえにイスラームの普遍性と合理性に求められる。
どうしても日本人には疎い一連の歴史的経緯を新書という形式でわかりやすく説いてくれる。これまで知らなかった世界が開けてくる。

イスラム文明の新展開を描く
(2006-03-07)
古い通説とは違い、実際にはモンゴルは文明の破壊者ではなかった。
宗派抗争に因る社会の不安定化に疲れたイスラム社会は、スンニ派の政治的亡霊とシーア派過激派の牙城を遠慮も無く粛清した新たなる支配者モンゴルとの妥協点を見出し、イスラム文明の非アラブ化を模索していく。一部の現代人が「パクス・モンゴリカ」と呼ぶ未曾有の平和の下、「イスラムの国際化」とも云うべき動きの中で、イスラム教はインド亜大陸や東南アジア等インド洋方面に多くの信者を勝ち得、中近東の地域文化としての色彩からの脱却に成功する。それは将しく、イスラム文明の新時代の到来だった。
モンゴル衰退後、一時の暗い時代を経て、やがてイスラム教徒は自力でその社会の政治的な中核勢力を築き上げる。西紀十六・七世紀、世界史は実はオスマン・トルコ帝国を中心に回っていた。イスラム文明第二の盛時はこうして到来した。
国際交易の中心舞台が中央ユーラシアからインド洋に移り行く中、オスマン=トルコ帝国は陸上帝国でありながらも海洋国家としての姿も併せ持つと云う、モンゴル帝国の政策の見事なまでの継承者としての道を辿って行く。イスラム教徒騎馬遊牧民は、此処でも素晴らしい時代適応力を見せていた。だが、其れ以上の速度で発展していた勢力こそ、新興敵対勢力たる西洋に他ならない。オスマン=トルコと西洋との競合は、名君スレイマン一世がウィーンを陥し損ねた時からの宿命なのだろうか。
世界文明が本格的に海洋化するのは、世界の覇権が海洋文明たる西洋に移った西紀十八世紀後半頃からだが、西紀十五世紀末頃からそれまでの三百年程は、陸の時代から海の時代への過渡期といっても良いだろう。本書では、その時代の様相が見事な筆致で描かれる。

