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講談社
カテゴリー:Book
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カスタマーレビュー ![]()
落ちた偶像
(2007-07-08)
本書が刊行された当初は絶賛されたものだ。妹尾氏のそれ以前の著書から想像される妹尾氏の純粋な性格から、戦争当時にあっても物事を冷静に観察・判断し、戦争下の状況を克明に伝えたものとして。小説の体裁は取っているものの、明らかに自身の経験を書いたものとして人々は受け取った。私もそうだった。妹尾氏もその姿勢を打ち出していた。
ところが、山中夫妻の「間違いだらけの少年H」の刊行により、当時の民間人には知り得なかった事実が少年Hの知識や日記に表されていた事が判明した。捏造である。戦後に得た情報を、戦中の「少年H」に持たせてしまったのだ。これは小説としても整合性を欠くものだが、本作は冒頭でも述べたように小説の体裁を取った自伝である。あの戦争の状況を一少年の立場から書くという意図は立派でも、勇み足だったようだ。
初めから虚構性の高いものとして描けば、上記の瑕疵も何とかカバーできたのかもしれないが、元々本書の意図は当時の"実情"を描く事にあったのだから、それでは話は矛盾してしまう。つまり、本書を書くなら実際に「少年H」が知り得た情報の範囲で書くしか方法は無かったのだ。戦争時の国民の姿を一少年の目から忠実に描くという目的意識が先行してしまって、手段を誤ってしまった残念な作品。

戦時中だって、明るい話もあった
(2007-02-14)
下巻は暗くなりがちですが、上巻はまだまだ明るいと思う。
史実と違う点が指摘されている作品だが、「小説」と割り切って読むには気にならない。
Hが情勢について知りすぎてる点は大人になった今若干の違和感を感じないでもないが、子どもが読むにはちょうどいいんじゃないかと思う。
戦時中でも明るく生きていた。
人々は頑張っていた。
情景が目に浮かぶような、そんな作品。

作者が一番ウソつきや!
(2006-02-27)
日中戦争前後‐太平洋戦争中(1943年頃)、Hと呼ばれた少年の目を通して語られた小説。Hの少年期が生き生きと描かれている。野坂昭如『火垂るの墓』のような戦争の凄惨さはなく、むしろ明るい躍動感さえある。児童文学賞にノミネートされたりするくらいなので読みやすい。マイペースな母親に振り回されウンザリするHの様子は共感でき面白いが、一市民の父盛夫が政府高官並の情報通であったり、Hの戦後史観での戦争批判は、ストーリーの性質上必要なのかもしれないが、戦中派でなくても違和感がある。また、著者の記憶をもとにしているというふれこみだが、山中恒・山中典子『間違いだらけの少年H』によると、実際は『昭和二万日の全記録5巻・一億の「新体制」』『昭和二万日の全記録6巻・一億の「太平洋戦争」』という年表から起こしたもので、年表の間違っている箇所と同じ箇所が間違っていたり、戦後明らかになったことがリアルタイムで描かれているので、描かれている事実関係やエピソードは創作だということを踏まえて読まなくてはいけない。
小説なので必ずしも事実を書く必要はありませんが、それは嘘をついてもいいということではないと思います。「大人も新聞もウソつきや」って吠えているわけですから。

小学生も読んでほしい
(2005-05-30)
正直に言って、私は詳しい時代背景などは知識もないしわからない。この本にある事に、史実と違う事が書かれていても気付けない。
でも、そういう観点を抜きにすればこの本はとても興味深く読める。私が過去に出会ってきた戦争についての物語は、どれもこれも冷静さに欠きすぎていてよその世界の話のように思えた。実際、冷静さを欠くような時代だったのかもしれないが。しかし、このHの世界は静かに戦争の時代を見つめている。その時代に身をおいた少年の心が爽やかに描かれている。
個人的意見としては、夏、小学生にぜひ読んで頂きたい一作品である。

まあ読みやすいよね。
(2005-04-29)
同氏の他の著書(河童が覗いた〜シリーズ)より読みやすい感じの文章。
ほぼ総ルビですがそこまで読みにくい感覚はなし。
淡々と読めてしまうのでいまひとつ引き込みどころに欠ける気がするけれど、
長さの割に飽きさせない。
小学校高学年〜中学生あたりには読み応えもあって★5つ?

