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手嶋 龍一

講談社

カテゴリー:Book

セールスランキング:59371

税込価格:¥ 1,785  (定価:¥ 1,785)

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発売日:2008-04-25

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カスタマーレビュー

孤影に対しても時に矢を放つ必要があるということ  (2008-09-07)

 29人の政治家や外交官をとりあげ、この著者独特の流麗かつときに豪奢な文章で綴った一冊。凝った言辞の数々はしばしば国語辞典にあたる必要があるほどでした。
 出版元は本書を「人物ルポルタージュ」とジャンル分けしているようですが、ジャーナリスティックな著作物というよりは、著者の外交ジャーナリスト経験の中で拾った交遊録をもとにした随想といった趣の書です。

 29人の登場人物たちの政治外交上のそれぞれの足跡に対して、著者は、そして読者である私も、必ずしも共感をもつに至るものではありません。
 しかし本書を通して著者が強く感じるのは---そして私も強く感じるのは---彼ら29人の深い孤独です。祖国を、そして世界を大きく変えることになるであろう緊要な政治決断を迫られたとき、彼らの身近には肩を貸してくれるような真に友と呼ぶ存在はいないようです。外交判断に誤りがあるかもしれないという恐れ、後代の歴史家の厳しい審判を受けざるをえない宿命、墓場まで抱えていくことを定められた大いなる国家機密、そうしたもろもろを常に背負いながら、己の信じるところをひとり歩まざるを得ない彼らの孤影が、著者独特の文体によって浮き上がってくる思いがします。

 そんな感慨を抱きながら本書を読み進むうち、いみじくも著者がこう綴っている箇所に行き当たりました。
 「プロの仕事とは孤独なものである。」(172頁)
 余人をもって代えがたい特有のポジションを占めるがゆえに味わわざるをえない寂寥感たるやいくばくかと思います。

 ですがもちろん、私たちは彼らの孤独に同情して済ますわけにはいきません。彼らの孤独の決断を、私たちはやはり公正にみつめる必要があるのです。著者自身の筆致にはそうした厳しい目があります。
 政治の担い手と私たち市民との緊張をもった関係が健全にはぐくまれ、引き継がれるべき。それが著者の訴えることではないかという気がします。

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政治の世界での隠された側面を絡めた人物評として印象的  (2008-09-01)
著者はプロローグに「政治を志すとは、謀殺の危険と常に背中合わせに暮らすことなのである。だが、そんな現実感覚を私たちはいつの頃からか摩滅させてしまった。」と記し、わが国の政治の弛緩と緊迫感の喪失に警鐘を発している。
政治ジャーナリストとして、世界を動かしてきた政治家やブレーンの官僚と接し、また仄聞し、しかるべき筋からも情報を得てきたであろう著者が、自らの見識をもとに時には哀惜の想いを秘め、知られざるエピソードをまじえそれら人物を評している。政治報道の裏に隠れたあるいは隠された側面を鮮やかに切り出し、論点に絡めていくその語り口に魅了された。
第一章「遙かなりホワイトハウス」冒頭のバラク・オバマのプロフィールの活写並びに、エピローグ「月下美人」の若泉敬を突き動かしたおもいの伝導は、どこかシンボリックですらある。
「さもなくば」という語句が、添えられた英文ではなぜ、”and”なのだろうか。

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大げさなタイトル  (2008-06-19)
 大げさなタイトルの割には中身がついていってない。
"Days of Wine and Bullets"という副題からして妙に気取っている。内容はさらに、書き出しからしていやらしく、読みにくい。「死の覚悟なき政治家は去れ!」というコンセプトで書いた積りだったのだろうが、取り上げている29人もの政治家とか外交官のうち、一体誰が著者のおめがねに適った者なのか、はっきりしない。

 民主党の大統領候補とほぼ決まったようなオバマ、彼だけが「暗殺されることを覚悟している」政治家、と読み取れる。
 また、日米同盟関係の重要性を強調するのはいいが、強調しすぎていやみに聞こえる。アメリカとの同盟関係が長い国ほど、長期政権が安定的に続くと言っている。かつてのイギリス・サッチャー政権しかり、ついこの間までの小泉政権しかり。
反面、アメリカとの関係を疎遠にした安部政権は短命に終わってしまった云々。

 ブッシュのイラク攻撃に終始反対していたフランス外相ヴィルパンに対する手嶋の嫌悪感は、読んでいて不愉快ですらある。
 
 尤も、同じNHK出身でもセクハラ事件を起こしてアメリカNHKを追放されたあの日高某よりは、知識が豊富で冷静に世界を見ていることだけは確かである。
そのことを勘案しても、★3は甘すぎるかも。 

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拍子抜け  (2008-05-27)
内容がタイトルに負けている
本の表紙も立派なのに…

みんな貧弱に見えちゃう…

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「渾身のルポルタージュ」は、言いすぎでは?  (2008-05-21)
権力の甘美を追い求めつつ常に暗殺の恐怖とも戦わなければならない――
政治家とはそういうものである、というところから、このタイトルになったようだ。
作品紹介にある通り、29人の古今東西(主に現代だが)の政治家が登場する。
彼らの「生き様」をルポする渾身の一冊、ということだろうが、
出版社の「惹句」だとしても、この本を「ルポルタージュ」と言えるかどうか。

確かに手嶋氏ならではの視点もあるし、ところどころ発見もある。
しかし「人物ルポ」とは、もっと禁欲的なほど淡々とあるいは泥臭く、「人間」に切り込んでいかなければならないと思う。

本書は、著者の政治エッセイと言ったほうが適当ではないだろうか。

おそらく、「お堅い政治本ではありません」ということで、このタイトルになったと思う。
造本も贅沢だ。
だが、気取った(と私には思える)文体(特に書き出し)で始まる割には、
中身はごくありきたりだったり、逆に政治に詳しくない人にはわからなかったり……
と非常に中途半端である。だから「エッセイ」なのだ。

 うっすらと色づきはじめた欅の木立の向こうにたつ煉瓦造りの建物から風に乗ってさんざめきが聞こえてきた。
 
これが本書の第一行目である。これをどう受け取るかは読者の好み次第だと思うが、
優れたルポルタージュ、ノンフィクションの出だしに比べ、あまりに気取りすぎではないだろうか。
それでも「名文」ならいいが、そうと言えるだろうか。

現に佐野眞一や後藤正治などは、素っ気ないほどの情景描写から始めることが多い。
本書も、ごく普通に29人の政治家を淡々と、しかし著者独自の視点で書けばよかったと思う。
手嶋氏には、それだけの情報量も力量もあるはずだ。
もちろんこういう本に仕上げたのは出版社、編集者の意図かもしれないが、
だとすれば勇み足だろう。

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