

アイテム詳細
集英社
カテゴリー:Book
セールスランキング:34644
税込価格:¥ 540 (定価:¥ 540)
1500円以上国内配送料無料(一部例外あり)でお届けします。
発売日:2005-10-20
通常24時間以内に発送
※「アマゾンのカートに入れる」ボタンは、この商品をアマゾンのカートに追加するものです。気になった商品をカートに追加しておき、後で購入手続きをすることができます。

この商品を買った人はこんな商品も買っています。

カスタマーレビュー ![]()
一気に最後まで読み進みました
(2008-08-20)
帚木氏の作品を読むのはこれがはじめてでしたが、サスペンスとしてのテンポが良く、魅力的な登場人物が多い作品だなと思いました。出産した経験があるからか、冷静にとても興味深く読ませていただきました。
エンブリオの成長や利用方法がすごく具体的に詳細に描かれているので、妊娠する前に読んでいたらお腹の中のことをイメージできすぎて怖くなったかも。でも生殖医療の最前線をみていくうちにすごくドキドキさせられ、単純に先が知りたくて一気に読み進んでしまいました。岸川は倫理的にもすごいことをしているのでしょうけれどあまり嫌悪感は抱きませんでした。これはあくまでも小説だから・・・と自分に言い聞かせて読んでいたのかもしれませんが。
昔は信じられない、と考えていたことが次々と現実になってきたことを考えると、男性の妊娠というのも今後あるのかもしれませんね。しかし人工妊娠中絶がそんなに多いとは驚きです。この本からたくさんの知識もいただきました。
闇の部分もありますが、実際にサンビーチ病院のような環境と設備とスタッフが揃った病院があるなら行ってみたいものです。
そして多くの不妊で悩む夫婦が救われる世の中になればよいなと思いました。
サンビーチ病院の周辺の景色や料理、学会で訪れたモナコの情景描写は素敵でした。カジノの場面や岸川の学会での発表は胸がすくような思いで読み進みました。お土産まで詳細に描写されていて(これが作品で重要な役割を持っているというのもあるかと思いますが)、加代じゃないけどなんだかモナコに興味を持ってしまいました。

狂気の天才医師
(2008-07-18)
世の中には生まれる子供と同じ数、そしてそれ以上の胎児が闇に葬られる。
その胎児を使い、難病を治し、美容クリームを作る。
又、死人の卵巣からエンブリオを作り出し体外受精を行い、不妊治療を行ったり、男性の出産を実現させようとする。
命の誕生という最も崇高な行為を自ら操ろうとする主人公岸川はまさに不遜で悪魔のような人間である。
しかしそういった闇の部分に大いに魅せられる。
倫理や宗教観など命に関わる問題には多くのタブーがある。そんなタブーをもろともせず、研究を推し進め、そのためには手段を選ばない主人公をどう見るか、それによってこの作品の評価も変わってくるだろう。

真なる狂人
(2008-02-01)
複雑な思いになりました。「再生医療」はまさに現代の医学界での最先端医療であり、「胎児」からの恩恵もかなりあるでしょう。そして、不妊に悩む人々には「福音」となりうるのかもしれませんが、使用されるだけのために、いわば、人間の欠陥部を補う「部品」として誕生させられる命とはあってもよいのでしょうか。もちろんこれは小説です。だけどある話だろうなぁと思いました。実際行われていてもおかしくはないでしょうし。が、何度かダイレクトに不快に思ったシーンがありました。が、この主人公みたいに医学の発展であれば、(本人の信じるところのの医学とは、ですが)なんでもあり、という一切の迷いのなさが、読み手を釘付けにして離さないような作品です。この著者の作品はほとんど読んでいますが、「無脳症児を扱った作品以上の嫌悪感と高揚感を感じました。

あなたの家の近くの産婦人科でも…
(2007-07-28)
まだ、上巻しか読んでないですが書きます。
この本はフィクションですが、今の日本でも十分起こりうる事実です。
ついこの前まで、日本では着床前診断(PGD)という体外受精させた受精卵をチェックする技術は、日本産科婦人科学会(JSOG)によって大きく制限されていました。
しかし、それに反対した諏訪マタニティクリニックの根津医師は学会を除名されながらも、習慣性流産を繰り返す患者たちにこの診断を続けました。学会を抜ければ、誰にも咎められずにこのような研究・治療は出来るわけです。
学会の処分は、除名だけ。受精卵がヒトと法律で規定されない限り、このような技術は違法ではないのです。(ヒトラーの優生学に反発した生命の選別を禁止する法律があった気がしますが、重い遺伝病の子どもを中絶させている現状では、形骸化しているといわざるを得ません。)
日本では(これは世界でもかもしれませんが…)卵はどこからヒトになるかの明確な基準もなく、また宗教的倫理観も無いため、生殖技術に関しては踏み込んでいける可能性を大いに秘めているのです。
予備知識があったせいかすごく読みやすかったです。後半もすぐに読んでいきたいです。

魅力的な悪徳医師の提起する、医療の倫理
(2006-11-26)
主人公の産婦人科医が、相当にむちゃくちゃなことをやっていて怖い。
中絶された胎児を培養して、移植用臓器にする。
ホームレスの男をだまして、勝手に受精卵を着床させ、妊娠させる。
パーキンソン病治療のために、産声をあげるまでに成長した胎児を中絶し、利用する。・・・。
最初は不快でしょうがなかったのが、その、徹底した狂医師ぶりに圧倒され、だんだん痛快になってくるから不思議だ。「魅力的な悪役ヒーロー」と言ってもいいんじゃないかと思う。
それに。彼は、私利私欲のために犯罪まがいのことに手を染めているのではない。
不妊に悩む夫婦のため。
適合する臓器を待つレシピエントのため。・・・。
多くの患者にとって、彼は間違いなく恩人であり、感謝し尽してもし足りない存在だ。
彼は「悪」なのか「ヒーロー」なのか。その矛盾が、医学の倫理観の難しさを内包し、ものすごく考えさせられるテーマとなっている。
答えの出そうもない深遠な問題を、やりたい放題の問題医師を主人公にしたことで、うまくサスペンス仕立ての小気味よい小説に仕上げていると思う。

