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小学館
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カスタマーレビュー ![]()
大人だからこそ描ける青春を題材とした作品
(2008-05-16)
読みながら、震えてしまいました。
緊張感がありながら、叙情的で読み応えのあるお話ばかりで、読み進めながら、「ああ、いい作品を読めてうれしいなあ」という気持ちで震えてしまったのです。
「坊ちゃんの時代」で初めて谷口ジローさんを知り、「孤独のグルメ」でその表現力にノックアウトされてしまいましたが、この人の漫画は誰が原作者でも、原作者がいない作品でも、同じようなよい緊張感と冷静さがあります。
印象としては、「絵の中に余白がある」。
よい意味で熱くなりすぎず、淡々とお話を進めながら、読んでいるものの心をギュッとつかむ不思議な作品を描く方です。
おそらく、この作品は自伝的な内容だと思うのですが、10代の青春真っ盛りの主人公の日常をきちんと大人の視点で描いているので、「私小説」とは対局のさっぱりとした読後感がありました。
大人だからこそ描ける青春を題材とした作品です。
きっと、谷口さんは大人になって、色々な表現を使って、若い頃のことを描くことができるのを楽しんでいらっしゃるのではないでしょうか?

星に願いを
(2008-05-08)
時代は昭和40年代前半、京都から東京に上京し、人気マンガ家のアシスタントとして働く青年の物語だ。
原稿の締め切り間際にはろくに眠ることもできない過酷な労働に従事しながら、青年はやがて「マンガを描くことの楽しさ」を、「物語を創る喜び」を知ることになる。
大人には誰にでも過ぎ去った季節が有る。
何かに取り憑かれたかのように一事に熱中し、全てを捧げた時代が有る。
湧き上がる野心、瑞々しい初恋、苦々しい挫折、叶えられなかった夢。
このマンガは作者の谷口氏の自伝的作品ということだが、どこまでが事実でどこまでが虚構であるかは重要ではない。
数々の想い出を冷静に取捨選択し、切り捨てるべきものは排除し、描くべきものを時には誇張し、一つの「物語」として再構成していく作業。
それこそが表現者の個性と技量を証明するのである。
そうした作業を経て、上品な筆致で描かれたこのマンガのラストは、読む者に普遍的な感動を覚えさせる。
ただ涙が流れる。
谷口氏は今も何かに取り憑かれてマンガを描き続けているのだろうか。
いつまでも、いつまでも、末永く、上質なマンガを描き続けてほしいと願う。
蛇足になるが、カバー帯の推薦文はマンガ家の池上遼一氏が書いている。
谷口氏のマンガを池上氏が推薦していることも嬉しく思える。

静かな時間が流れる大人のマンガ。続編が描かれることはないのだろうか。
(2008-04-12)
05年から08年にかけてビックコミックオリジナル増刊に発表された、一話完結方式の連作長篇。7話が収録されている。
オビには、谷口ジローが自身の若かりし頃を重ね合わせて描く自伝風・愛の連作!!とある。!!とあるが派手な内容ではない。原作つきのマンガを発表しなくなってからの著者のマンガの特長である、静かでゆったりとした時間が流れる作品だ。
もっとも現在連載中のシートンは原作つきといえるかもしれないが、もともと谷口ジローはオリジナル作として動物を題材とした作品を多く発表しているので、わたし自身は谷口ジローのオリジナル作だと考えている。
いつものことだが、地味だけどいい作品を読んだ、というしみじみとした気分にさせる一冊だった。
劇画(当時から本人は劇画を描いているつもりはないといっていたらしいが)を描いていた頃の谷口ジローの発表場所はマイナーな雑誌が多かった(大手といえるのは双葉社くらいだったはず)。現在でも、彼の描くマンガは、絵柄も内容も今のマンガ界の主流ではない。しかも奇をてらったところは一つもなく相当地味だ。
だけど、この作品がそうであるように大手出版社から発売されることがほとんどだ。きっと読者以上に彼のマンガを読みたい(彼に描いて欲しい)という編集者の存在があるからなのだろうと思う。読者のファンもいるけど編集者自体がファンだというマンガ家、それが谷口ジローというマンガ家なのではなかろうか。
ところで、余韻の残る終わり方をしているこの作品、続編が描かれることはないのだろうか?読みたくてしょうがないのだが・・・

