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谷崎 潤一郎

新潮社

カテゴリー:Book

セールスランキング:50466

税込価格:¥ 620  (定価:¥ 620)

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カスタマーレビュー

戦争という最大の暴力に対しても屈することは無い文化資本の力、すべての関西人が読むべき小説  (2008-06-12)
話の筋だけみれば、見合い話が持ち上がったり、破綻したりの繰り返しが主な内容であるちんたらした小説なのだが、引き込まれるように全編読み通してしまうのは、ピエール・ブルデューの言う「文化資本」の圧倒的豊穣さの描写が私達を引きつけるせいであろう。結婚の遅れや戦時下の統制など客観的情勢を見れば、主人公達は哀れまれるべき境遇にあるのだが、上流階級にしか解らない固有名詞の羅列等により提示される文化資本の「迫力」が、我々現代の読者にも「あこがれ」の感情をいだかせる。関西の文化資本はかくも豊かなものであったのか、吉本興行に毒されて文化資本を捨ててしまった関西人は、まずこの本を読んで反省するところから地域再生の一歩を進めなければならない。しかしこれだけ高級な小説でさえ出版を許さなかった戦時下の言論統制は矢張り狂気としか思えない。

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消えいくもの  (2008-04-14)
とうとう読みきってしまいました。最後まで読みきらせる不思議な魅力のある作品です。下巻では見合いが2度行われます。そして最終巻らしく、いくつかの展開が起こります。でも作品の根本が揺らぐことはありません。最後も格別のカタルシスはありません。ただ制度の存続は達成されたようです。もっとも背後では、妙子の冒険の成就とその犠牲が示唆もされています。時代は昭和16年4月末です。ここから先は時代としてはもはや取り上げられなかったのでしょう。戦争自体が社会の平準化と更なる近代化を生み出すモーターであることはいうまでもありませんから。そして制度自体の究極の死滅が示唆されているのはいうまでもありません。それは華族との結びつきという結末がその後の苦難を示唆するからです。もっともこれは意図的ではなく無意識のからくりなのかもしれません。というのはこの作品が書かれた時点ではそこまでを見通すことは無理だったでしょうから。制度の存続にかけてその役割を演じるという意味ではどの参加者も合格点です。でもその到達点にはもはや制度を支える土壌は失われているというわけです。

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読み終えるのが惜しくなる日本文学の傑作  (2001-05-04)
「細雪」が語られるとき、かならずとりあげられるのが平安神宮の花見のくだり。しかし、私のおすすめはこの下巻の冒頭、雪子の見合いで岐阜の旧家へ招かれた夜の蛍狩の場面です。

「細雪」は、「テーマ性の有無」という点で、賛否が分かれる作品ですが、四姉妹やそれにからむ人物、時代をていねいに描ききった谷崎の力量はやはり偉大で、これを読んだこと自体が人生の糧となり、誇りとなるような名作だと思います。

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