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新潮社
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カスタマーレビュー ![]()
どこか遠い外国を舞台にしているよう
(2008-03-16)
とても綺麗な文章です。
物語は昭和30年の日本が舞台です。
主人公の魚津や、彼を取り巻く人たちの、それぞれの思いが
活き活きと書かれています。
この作品に書かれている当時の人たちの描写を見ると、妙に
大人ぶっていたり、また逆に子供じみていたりと、どこか遠い
外国を舞台にしているようにも思えます。
切れないはずのナイロン製ザイルが、登山の途中で切れた。
企業の品質問題など、今日に通じるテーマでもあります。
ただ、ミステリーファンの立場で見ると、ザイルの切断面は
滑落した小阪側と、魚津側の二つがあったのに、何故最初から
魚津側のザイルの切断面を調べなかったのかと言う疑問が
残りました。
また、物語の重要な謎になっている、何故ザイルが切れたか
という問題が、うやむやのうちに終わってしまったのと、読後の
後味が少し悪いのが気になりました。

快作!
(2008-01-21)
乾いた文体と厳冬の山岳が調和した、素晴らしい作品。とりわけ「遺言」から終末に至る流れは、ひたすらに美しい。

ああ無常
(2008-01-21)
昔ザイルは麻でできていました
ごわごわして使いにくい
それで戦後はナイロン・ザイルが登場します
強くてしなやかです
麻のように凍結しません
理想のザイルと思われましたが事故が起こりました
ナイロンはせん断応力に弱い
岩の角で簡単に切れてしまいました
実話を基にして出来たのが「氷壁」です
主人公が穂高滝谷D沢で死んでしまうところがかわいそうでした
山岳小説の最高傑作のひとつです

面白いのですが・・・
(2007-10-02)
小説中盤の緊迫感はさすがで、ぐんぐん引き込まれましたが、
読み終わってみると、結局作者は何を書きたかったのかなあ、という印象です。
私の感性が乏しいだけなのかもしれませんがその点だけが少し残念です。

死に吸い寄せられる青年
(2007-09-08)
かなり前に読んでいたのですが、昨年のNHKのドラマ化をきっかけに、何年振りかで読み返してみました。
おそらく「神々の山嶺」よりはこちらの方を先に読んだはず。ですが「山」というよりは魚津という青年の内面描写しか印象に残っていませんでした。自分が「山」に全く縁がなく、「ザイル」「ピッケル」という道具の形状も、用途も知らないということも、もちろんあります。
しかし何よりもこの作品の肝は、会社勤めをしながら山に登ってはいたが心情的にさほど山に入れこんでいる訳ではなく、バランスをとりながら都会生活を送っていた青年が、自分の譲れない主張が裁判で証明できない→世の中に分かってもらえない、また分別もありながら人妻の魅力にあらがえず、それでも自分を想ってくれる人の気持に答えなければ…という葛藤から追い込まれて、まるで山に呼ばれるかのように「死」に吸い寄せられていく…という青年の変化であると思います。
「ナイロンザイルは切れるはずがない」という当時の定説。いや、でもザイルは切れたんだ!これは死亡した小坂の友人としても、登山家の端くれとしても譲れない!やがて都会生活の中で息苦しくなっていき逃げ込むかのように山へ…。
2度目読むと、しっかり「山」のことを書き込んでありました。にも関わらず後に残っていないくらい、青年の内面を描いたしっかりした文学作品です。
山には関係なく、本格的な文学好きな方にこそ是非読んでいただきたいです。

