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アイテム詳細

筑波 昭

新潮社

カテゴリー:Book

セールスランキング:4500

税込価格:¥ 620  (定価:¥ 620)

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発売日:2005-10

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カスタマーレビュー

秋葉原事件  (2008-07-08)
将来を嘱望された地方の秀才が転落して社会の冷たさを逆恨みし自己顕示欲を爆発させ、理不尽な大量殺人に走るという構図は、秋葉原の通り魔事件や池袋の通り魔の容疑者(いずれも20代前半)に意外なほど似ている(ちなみに大阪・池田の児童殺傷はかなり異質だ)。当時は戦時体制の暗い世相の中、容疑者の男は、肺病やら夜這いでの愛憎やら狭い村の共同体意識・世間体やらに追い詰められ、結局は村の隣人たちに凶刃・凶弾の矛先が向かった。それに比べ、後者の最近の事件は、都市やインターネット社会での孤独やワーキングプアの問題が影を落とし、結局大都市の通行人を狙うという風に、構図や精神構造は似ていても時代とともに犯罪の形が変わっているところもまた興味深い。一見キワモノ的になりかねない題材だが、抑えた筆致で通し、資料が潤沢で綿密な取材力に脱帽。

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日本犯罪史上最悪  (2007-12-23)
岡山の30人殺しの犯罪を追った本です。横溝正史の八つ墓村のモデルにもなった事件です。結核の罹患、優秀なのに、進学の断念、軍国主義の足音、夜這いなどの村の習俗、阿部定事件など、当時の世相、風俗などのついて、記録や証言にもとづいて、細かく検証しています。事件について、知るためにはとても良い本だと思います。しかし、現象の記述にとどめているので、いま一つ、動機について、すっきり迫れていないところがあります。著者は、予断なく、読書に事実を示したかったようですが、著者として、推論だけでも欲しいところです。いづれにしても、この日本犯罪史上空前の事件について、その前後の事情について、詳しく予断なく書かれている本だと思います。犯罪学に興味のある人は必読だと思います。猟銃の所持の許可の問題など、当時と今とあまり変わっていないのがわかります。

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憂鬱、村の皆が作った犯罪者。  (2007-11-01)
昭和11年には、有名な事件の阿倍定事件が世をにぎわせ、軍国主義へと向かいつつある世相に笑いをもたらしたのだそうだ。
この本は、阿倍定事件に触発された、この事件の主人公の生い立ちや供述を緻密にたどったルポルタージュであると言える。
主犯者は、両親が他界した事を切欠に、姉とともに祖母の住む寒村に移り住む。
生来、体が弱く登校日数も少ないにもかかわらず成績優秀で、肺病を病む前は周囲の女性の人気もあった。
閉鎖的で、陰湿で、排他的な因習漂う寒村での唯一の楽しみと言えば、祭りと婚姻の有無にかかわらず行われる淫行しかなかったのだろう。
現に、私も習い事の先生から「農家じゃ女は村の男のものじゃけよ、男からアレを求められたら断ったらおえん。(マジっすか?怖いっ!)若い男は後家に物を持って行って、アレを教えてもらうのが習わしなんで。綺麗な後家やこ、村の男皆にやられよんで陰で馬鹿にしよったんで。」と言われた。
この県は、現代でも痴情に長けた当時の名残を残した様な人が多い。
又、閉鎖的な地域に住む人間は、実は自分たちの土地や人間関係が嫌いな場合が多い。それ故、どうしても結束力に欠けるので、結束を持たせる為には、絶対的強制力のある団体に属して特権を享受するか、自分たちの中で弱い立場の誰かを攻撃して、そこで団結を図る行動をとりがちだ。
排他的になるのも、よそ者が入り、自分たちの価値観や元々脆弱な団結力を崩されるのを極端に嫌うからではないかと思われる。

主犯者も肺病を病み、生活も貧窮となるにつれ、村の中での弱い立場の攻撃される対象となっていき、村の集団に入れず、そこから様々な不満や、強烈な性的衝動がからみ、
頼れる姉の嫁入り、村の共有物である筈の女達からも拒まれ、見捨てられ症候群の様になる。
陰湿で排他的な寒村で受ける陰湿な嘲笑や差別は相当なものであったと想像できる。
主犯者が、学校の先生の勧め通りに街中の中学校に進学していたら、この様な事にはならず、一廉の人物にはなっていただろう。
自殺する際の遺書の文章力には驚くばかりである。
この事件は、一人の人間が犯罪者になる過程に、様々な不運や偶然が重なる事や、人間の係る環境の影響の強さが分かる。
起こるべくして起こった事件だと思う。

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悲しい。ただ悲しい。  (2007-05-18)
どこにでもいる小市民である自分が
今もなおひっそりと存在しつづける“その場所”の悲しい歴史を
簡単に知ってしまったことが切ない。
この作品を読む行為は単なる読書ではなく、
悲しみの配当を受けることのような気がする。
途中に差し込まれている都井本人の顔写真を見たときには
体じゅうが硬直した。あなたも必ず硬直する。
読んでよかったのか、よくなかったのか、自分でも判らない。
悲しい。ただ悲しい作品である。

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動員の連鎖  (2007-02-08)
前半の調書などは飛ばしても構わないけれど、後半の迫力はすごい。事実もすごいけれど筆力もすごい。「浮城物語」と「阿部定の調書」、前者は明治20年代の海洋冒険小説、後者はこの事件の2年前の有名な殺人事件の調書が流出したもの。この二つの書物から犯人=主人公が決定的な影響を受けて犯行につながっているというのが本書のポイントです。
これはオタク論として読むべき本です(と小谷野敦がどこかで書いている)。犯人は家にこもって読書にふけり二次創作をする。人間関係は苦手だけど頭脳明晰で傷つきやすい。裏切られたと思って村人を殺害する。書物の動員する力にハマって、そしてまんまと動員されてしまったオタク。
そしてよく知られているように、この事件から溝淵正史や松本清張が創作意欲をかき立てられている。なんという動員の連鎖。人を動かす書物の力。今なら映像が持つような力を書物が持っていた時代という感慨さえわいてきます。

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