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新潮社
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カスタマーレビュー ![]()
「オタクはすでに死んでいる」かどうかはわからないけれど
(2008-06-15)
「オタク」とは何者なのか。
萌え系オタクばかりがフィーチャーされる現在、あえてその根源的な問いに行くところがやっぱり「オタキング」の「オタキング」たる所以だなってのが第一印象でした。
やっぱりこの人は、この本で言うところの「第2世代」までのオタクです。
かつて「オタク」は、「萌え系オタク」ばかりでなく、さまざまなジャンルのマニア・ファンを総括した呼び名でした。
アニメオタク、特撮オタク、マンガオタク以外にも、鉄道オタク、カメラオタク、軍事オタク、切手オタク…いろんなオタクがいます。
そのいろんなオタクが、ジャンルは違えど自分達は「オタク」という存在であるという共通認識と共感を持っていた時期というのは確実にありました。
「萌え系オタク」がオタクの代表者という状態になる前の話です。
現在大多数の方が「オタク」と言われて連想するのは「萌え」あるいは「ガンダム」になってしまうのかな、という印象があります。
そこに私は違和感を覚えています。
私も「萌え」は嫌いじゃありません。
ツンデレは好きじゃないですけど、萌えるキャラクターだっていますし、メイドさんは2次元も3次元もどっちも好きです。
だけど、萌え系オタクだけが、特撮オタクだけが、BLオタクだけが、オタクでしょうか?
それは、きっと違いますよね。
ホンダの除雪機について熱く持論を述べたり、クボタのトラクターについて一晩中語り明かしたり、そんなのもオタクだと私は思います。
保存蒸機のイベントを企画するのも立派なオタクです。
私もオタク系のオフ会などに何度か出てみて、いろいろ違和感を感じるところがありました。
オタク=アニメ・マンガ・ゲーム・特撮という縛りに、若い人ほど支配されている、与えられた世界で満足している、そんな印象がありました。
そういう印象があったことで、よけいに本書にはものすごく共感できます。
「オタク」はすでに死んでいるのか、それははっきりと言い切ることはできませんけれど、本書で岡田氏の言いたかったことはよくわかるつもりです。
自分を「オタク」だと思う方、是非一読してソンはないと思います。
新世代の方にも、旧世代の方にもお勧めしたい一冊です。

ゼロサムゲームの憂鬱
(2008-05-29)
本当に昔のオタクがそうであったのかという事実論は置いておいて、オタク界のみならず現代社会に一石を投じるに足る書であると思います。
ただ、「大人は損を引き受けるもの」という下りに対して、ちょっとした疑問を抱きました。
確かに、この言葉自体は納得がいくものです。損を過剰に嫌うというのが現代人の病なのかもしれません。ただ付け加えるなら、現代人が損を引き受けなくなったのは子供だからと言うだけはないのです。
この情報化社会では自ら情報を求めれば、その対象についての良質な情報は揃います。世界の本当の姿が見えてくる(と錯覚するだけかもしれないけど)。すると、世界は楽観的な言葉では糊塗できないほどの剥き出しの真実に触れるわけです。それを隠蔽しようとする動きもわかってくる。第一次の情報を伝えるメディアですらも、自分たちの利益から自由ではなく、嘘真実を語らない。
常に利害関係は存在し、そこから人間は抜け出すことができない。誰もが生き馬の目を抜こうとしている。それを知って、世界に対する幻滅と共に、誰かに躍らされる人間にだけにはなりたくない、と無意識のどこかで、現代人は決意するのではないでしょうか。損をすることだけならいくらでも耐えることができても、自分を踏み台に誰かが成功して高笑いする図式は我慢ならないでしょう。損すること=誰かが得するということであり、こういう心理も子供じみていると断罪することはできません。
こうなるのは時代の必然であるから、今の日本人だけの問題ではなく、世界の構造自体への問いかけとしなくてはならないと思いました。

オタクでない読者はこう読んだ。
(2008-05-29)
デブでマイナー嗜好による劣等感を、『普通の人』より詳しく勤勉であることで、自分は頭がいいんだ、『普通の人』とは違うんだ、との優越特権意識に変えてきた筆者が、オタクの大衆化により自分の存在意義を脅かされて、日本文化論や社会科学論に強引にすり替えてまで自己の存在意義をアピールし自己満足しようとしている本。
だから他の人も書いてるように論理に一貫性がないし主観的で説得力に欠ける。。
筆者は『普通の人』が彼女とクリスマスをすごすのを軽蔑しているようだが、それも劣等感の裏返しにすぎない。
歳とってからダイエットするくらいなら、20歳のときにダイエットをすればよかったのだ。
それで劣等感を克服できていれば、今更無理矢理の自己正当化をしなくてもすんだはず。
これはオタク論ではなく、岡田氏個人の自己憐敏の本である。

著者固有の問題と思われる部分も
(2008-05-28)
平易な文体で読みやすく解説も明快。2時間ほどで読めてしまった。
本書の分類でいけば私は第二世代のオタクにあたりますが
私自身、最近の20歳前後のオタク達と接していて、自分達のように熱く語ることが無い部分に
違和感を感じていたので、スッキリしました。
ただ、他の方も指摘されているように論証が不足しています。
特に気になったものとしては『第三世代のオタクが排他的』とする分析。
その根拠として「自分が萌えがわからない、と言ったらお前はオタクじゃない、と言われた」
という体験が語られていますが、それはオタキングである岡田氏だからこそ向けられた、
非常に個別具体的な問題(誤解)にすぎないように思います(例えば一介のミリタリーオタク
が「萌がわからん」と言ったところで同様の批判はされないでしょう)。
P81〜83の他の評論家のオタク定義についても、解釈が乱暴です。オタクでない人たちに
分かりやすく説明するためとの意図はわかりますが、他者の言論はもう少し慎重に
扱ってほしいと思いました。

オタクの歴史を知りたい方におすすめ
(2008-05-24)
タイトルだけ見ると誤解する方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は“オタク批判本”では決してありません。
むしろ、緻密かつ現時点において最先端の“オタク年代史”と言っていいでしょう。
自分は21歳なんですが、報道番組や新聞記事等でオタクを取り上げる際、たまに宮崎勤事件についても触れているのを見掛けましたが、オタク(という概念)と宮崎勤との関連性がいまいちつかめませんでした。しかしこの本を読んでようやく理解できました。
また、おたく(オタク)が生まれた理由についてもおもしろかったです。私の世代では既に、オタクであることがマイナスイメージにつながることは日々の学校生活においてはありませんでした。
オタクの実態の変遷は元より、オタクへのイメージの変遷が大変分かりやすく書かれているのでこの分野に興味がある方に是非おすすめ致します。

