

アイテム詳細
中央公論新社
カテゴリー:Book
セールスランキング:59096
税込価格:¥ 861 (定価:¥ 861)
1500円以上国内配送料無料(一部例外あり)でお届けします。
発売日:2007-04
通常24時間以内に発送
※「アマゾンのカートに入れる」ボタンは、この商品をアマゾンのカートに追加するものです。気になった商品をカートに追加しておき、後で購入手続きをすることができます。

この商品を買った人はこんな商品も買っています。

カスタマーレビュー ![]()
小泉政権5年半の総括本
(2008-07-23)
5年半に及んだ小泉政権の政治を振り返り、その歴史的意味や従来の政治システムに与えた影響を分析、さらに小泉個人への評価も取り入れた好著です。新書ながら要点がよくまとまっていて非常に読みやすくなっているのは、著者の冷静かつ中立的な(どちらかといえば小泉に肯定的のように受け取りましたが)記述のおかげかと思います。特に小泉を論じる本には小泉個人の資質批判本や、逆に無条件礼賛本が多いですから、なおのこと好感がもてます。
本書では、小泉を「パトス=情念」の首相と定義し、本来の政治のあるべき姿である「ロゴス=理性」とは対極のパーソナリティや手法をとったと論じます。そして、在任期間中の業績(もちろん失点も)を俯瞰し、その功績と弊害について指摘します。
内山氏は、小泉政権は郵政民営化や経財諮問会議の活用など内政には戦略的な視点があった一方で、外交には戦略がなかったと断じます(そのとおり!)。しかし、それまでの官僚中心の政策決定、与党自民党のボトムアップ型政策決定から変革させた功績は、(小泉嫌いの私にとっては残念ではありますが)認めざるを得ません。そのことは、その後の安倍、福田政権が反面教師として証明してくれているようです。
また、本書のいいところは、とにかく読んでいて面白い、ということ。これは著者の筆力もありましょうが、小泉氏のパーソナリティに負うところが大きいということなのでしょう。政治学にとって格好の素材であることがよく分かります。
新書でこれだけのクオリティ。是非、オススメしたい一冊です。

“功罪”は何かを為したから
(2008-03-20)
正直に告白いたしますと、私は自民党は支持しませんでしたが、純ちゃんファンでありました。彼が何かをやってくれるという期待は余りありませんでしたが、私の目には彼がとても魅力的な指導者に映ったのです。本書を読みながら私は、なぜ私が彼のファンになったのか理解できたような気がしました。人々を「祭事」へと誘い、そこから自らの個人的信念の実現のための力を引き出す。その力に対する狡猾さに惚れたのです。首相、小泉純一郎に対する批判は多く耳にしますが、彼は事実人々を動かし、自らの考えを実行したことをもっと重視しなければなりません。ここが正論ばかり語るだけの政治家や信念を貫くだけの政治家達。つまりはそれらを為し得るための力を手に入れる狡猾さに欠ける政治家と大きく違うところだからです。本書の内容は、副題の示す如く小泉純一郎は何を変えたのか、という主題の追求にあります。彼は実際に何かを変えたのです。ここが最も重要です。本書は小泉政権の政策を大きく内政と外交に分け、それぞれの主題毎にその沿革を説明し、そこでどのような変化が生じたのか説く構成になっております。著者は比較的筋の通った内政と、行き当たりばったりな外交がなぜ生じたのかについて考察されておりますが、私にはこの点の議論は不毛のように思います。彼は自らの信念に対して忠実に行動し、それを実行しただけなのではないでしょうか。そこに何らかの理論的裏付けが見えるなら、それは恐らく偶然。小泉純一郎が日本の歴史の中で何らかの意義を持ち得るとしたら、その良否はどうあれ実際に行動し、変化をもたらした所にこそあるのではないでしょうか。そして、小泉純一郎はぼかし様のない明快な結果を残しました。日本の行く末を決めるのはそれに対してこれからどう反応するかにあります。しかし、将来小泉政権の評価がどう定まるにしろ、一手目を打った彼の功績は評価されてしかるべきだと思います。

小泉純一郎という政治家の素描
(2007-11-10)
5年5ヶ月君臨した小泉純一郎という政治家の分析と総括である。
政治運営の仕方は「ボピュリスト。トップダウンの政策決定。非常に短期に物事を推し進めようとする。しがらみのない人間。」ということがわかる。
内政では聖域なき構造改革で、新自由主義的政策を竹中と一緒に推し進めた。
外交では強いアメリカを背景に、アジア外交、北朝鮮外交を推し進めた。
大半は、こうした小泉の行動様式と実際の動きの記録である。無論その政治手法。改革のプロセス。戦略的な経済政策に比べた戦略なき外交の総括ともなる。
注目は、小泉政権の功罪に関する評価である。
ここに格差社会についても小泉がギデンスの言う排除の論理に立っていたことが示されている。これは、格差社会の犠牲者である下層や中間層の排除のみならず、上層の排除もポピュリズムによって行っていたことを明らかにしている。いっきに、悪役と見方に分けて、膠着した当時の政治システムを変革したことは大変評価される。
しかし、小泉路線である新自由主義的改革はあまりにも結果を考えていない。セイフティーネットも忘れさられている。ここで、少数派の意見もみとめるギデンス包摂の論理が、より一段高い改革となることが示されている。

小泉政権とは何だったのか
(2007-05-29)
小泉総理については様々なエピソードが語られているが、それらのエピソードがドラマチックなだけに、客観的な評価は難しい。(著者自身、小泉政権の評価を任期半ばで変えたことを認めている。)
本書は、郵政改革、道路公団民営化など、小泉政権を特徴づける幾つかのイシューについて、その事実関係を丁寧に追いつつ、政治学者の目から見た小泉政権の位置づけを明らかにしようと試みている。
政治という題材を扱うことに特有の限界はあるものの、我が国の政治を(今後継続するかどうかは別にして)大きく変えた小泉政権を振りかえるにあたり、誠実かつ確かな視点を提供してくれている。

政治「学」的小泉ドキュメント
(2007-05-07)
善悪の対立を強調して、政治を劇場化し有権者に訴える小泉前首相を著者は「情念=パトスの首相」と名づけ、この視点からこれまでに出された様々な小泉ドキュメント本ほか資料を元に、トピックごとに小泉首相の功罪を評価する。
本書ではまず内政について、竹中平蔵という優れた戦略眼を持った軍師、官僚と族議員から政策決定権を取り上げた経済財政諮問会議という場、要所要所で自ら裁断を下すリーダーシップの3点をうまく生かして内閣本体の力を強くし、郵政民営化、医療制度改革、三位一体改革、財政改革で次々と業績を上げたと指摘、新自由主義の観点から構造改革を戦略的に行ったと、高く評価した。
一方、外交については発足当初の田中外相が巻き起こした外務省騒動も相まって、一貫した戦略が不在であり、小泉首相のパトスが過剰に反映された靖国問題でも戦略性に疑問を呈した。また、総括して小泉政治を振り返ると、有権者に対立を煽り、理性的な政治判断を奪ったのではないかとも指摘した。
と、ずいぶん自分で書いても面白みのないレビューだが、本書自体が教科書的な記述なので、畢竟レビューもそうならざるを得ない。実際、事実や分析自体はすでに明らかになっていることばかりだし、後半には政治思想の文章が続き、読んでいてそう面白いという本でもない。しかし、本書の随所に出てくる「派閥と官僚による55年体制に楔を打ち込んだ」という視点はわかりやすく、また、内政では、各トピックごとに年表などの図表が掲載されており、理解を助ける。小泉政治に学問的アプローチから関心があるという場合には、薦められるのではないか。

