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中央公論社
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カスタマーレビュー ![]()
そこのお若いの、ここから入るな。
(2008-06-17)
これから司馬文学に入ろうとする方、この作品からはやめておこう。司馬遼オタクと言われた私が挫折寸前だったからだ。何とか読み通したが、これが司馬さんだと思われても困る。
有名だからどなたか書いておられるかもしれないが、「坂の上の雲」にも「翔ぶが如く」にも「挫折の巻」がある。「余談だが」といって1冊書いちゃうとか。興味のある場合はその余談が楽しいのだが、これはちょっと苦しかった。
ほかの司馬さんの作品は大好きだが、司馬さんは、悪い意味ではなく、偏見と思い込みの人だ。そう思って、ほかの作品から司馬ワールドに入って楽しむといい。

司馬さんの見た空海を楽しめる
(2008-02-19)
司馬遼太郎さんの作品は、主人公の姿が映像として自分の目に浮かんでくるようなかんじがその特徴だと思いますが、本書は他の司馬さんの本に比べると、「自分の目に浮かぶ」という感覚は弱かったです。徹底的に資料を調べ尽くす司馬さんも、さすがに空海の時代まで遡ってしまうと資料が限られてしまうため想像に頼らねばならない部分が多くなり、「生き生き感」が薄らいでしまったのではないかと思います。とはいえ、残された空海の書にある筆のタッチひとつから、その頃の空海の状況を推理する司馬さんのすごさには驚かされます。本書を通じ、空海の一生を楽しく知ることができました。

サイアク
(2008-02-14)
資料を網羅したわかりやすい入門書というよさはあるけれど、司馬遼太郎の想像がことごとくマトハズレ。『情報』はあるけれど、仏教のことも空海のことも、まるでわかっていない。その無能さに、あきれるやら、腹が立つやら、とにかく最悪本。
「セックスは全て良きことであり、すなわち菩薩の位である」みたいなトンデモ解釈。「セックスを良きものに変える言葉こそが、菩薩の位である」となぜ正しく解釈できないのか。
スポーツ新聞のエロページのような解釈をすると売れるから、わざとやったのだろうか?
とにかく、もっとまっとうな空海本のスタンダードを早く誰か書き改めて欲しい!!!

いい題名ですね。
(2007-09-17)
日本が生んだ不世出の天才、空海に迫る、著者渾身ともいえる1冊です。
著者がこれまで多く描いてきた、戦国時代、幕末・明治に比較し、空海とその時代を記述した文献は、もちろん、質量の点で少なくなります。そこで、著者は、わずかに残された文献を丹念に読み込みながら、時代の空気、空海とその登場人物たちの性格について、最大限の空想力を働かせながら、空海という人物、そしてその時代を歴史ではなく、小説として描いていくことから、「空海の風景」という題になったのでしょう。
従って、もしかしたら、空海は、ここに描かれたような人ではなかったかもしれません。しかし、著者の空想力に付き合いながら、天才空海に迫るのは、非常に楽しい作業であり、読んでいる間中、わくわくさせられます。
著者の他の著作とは、風合いが違うかもしれませんが、勝るとも劣らない1冊だと思います。

日本の生んだ世界的な才能の実像に迫る労作
(2007-08-05)
空海については中学・高校の歴史で勉強した後は全く接する機会がなかったが、1年ほど前に夢枕獏の伝奇小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を読んで、小説の内容は荒唐無稽であるが、そこに描かれた空海の天才振りに興味がそそられた。
書店で本書を見かけて、空海に対する興味が甦り読んでみたところ、同じく小説という体裁を取っているが、こちらは空海の実像に迫ろうとする労作であり、そこに描かれた空海はやはり天才としかいいようがない尋常な人物ではないことを再確認した。
その多才振りには呆れるほかない。日本にいながら中国語を完全にマスターし、遣唐使の一員として唐に到着した時点で既に唐の人が驚嘆するような文章・詩文を作ることができ、更には唐にいる2年の間に梵語(サンスクリット語)もマスターしてしまう、語学・文芸の天才だ。更には日本の三筆に数えられる程の書の実力を有し、当時の文明の先端を行く唐においても一流の文化人として通用する人物なのだ。
更には企業家としての実務的な才能も十分持ち合わせており、国費で唐に亘った最澄とは異なり、自力で資金を集めて唐での滞在費用、密教の体系を導入するに必要な多量の経典や法具、密教を相続するについての謝礼や、それに伴う披露と感謝の宴を張る費用をすべて個人を賄っているのだ。
一人の人間にこれほどの才能が備わっているのは神意としかいいようがないのかも知れないと不思議な感に打たれた。
また、仏教には全く疎い自分にも、空海が持ち帰りそして自ら体系化した密教のみならず仏教に関する歴史や体系について、わかりやすくかつ丁寧に説明がなされており、仏教の体系について漠然ではあるが全体的なイメージを掴むことができ、その点でも啓蒙的な内容であった。

