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東京大学出版会
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著者が総勢22名のアンソロジー
(2006-04-07)
著者が総勢22名のアンソロジー。年代順でいくと(出身地無記入はすべて東京出身),行方昭夫(1931年),川本皓嗣(39年,大阪),天馬龍行(37年),山中圭一(40年,高知),井上健(48年),大澤吉博(48年),辻井潤一(49年,京都),能登路雅子(49年,弘前),佐藤良明(50年,山梨),小森陽一(53年),丹治愛(53年,札幌),柴田元幸(54年),門脇俊介(54年,札幌),菅原克也(54年,山形),エリス俊子(56年,西宮),小川高義(56年,横浜),高橋克美(56年),古田島洋介(57年,横浜),牛村圭(59年,金沢),新井潤美(61年,東京),小谷野敦(62年,茨城),西山達也(76年)。30年代が3人,40年代が5人,50年代が11人,60年代が2人,70年代が1人。女性が3人しかいない。あれ? 大阪と兵庫と四国がそれぞれ一人っきりだ。あとは関東以北の出身者。九州人が一人もいないという地域的偏向。勤務先は東大が一番多いが(22人中12人),卒業は殆んど全員が東大卒だろう(無記載ゆえ無根拠)。興味深いのは,22人の著者紹介に全員が顔写真つきであること。議論に気に喰わない点があっても,顔写真を見てると許しちゃってる経験をした(逆もあったが,女性論者に関してはないゾ)。
編立ては,英文解釈(学習)から翻訳(方法)へと流れていっている。「漢文訓読と英文解釈」(古田島)は,「I訳読という制度」にあってもよかったが,どっちでもいい。
“翻訳とはトランプのように単語をひっくり返して文法的に並べ替える作業ではないのですよ”とか“翻訳とは文化の翻訳なのですよ”とか“原文の価値を損なってはいけませんよ”とか“単語の語源までわかった上で翻訳すべきなのですよ”的なご忠告に集約される翻訳論を一通り読んでいる読者には新機軸はないような気がするが,それは僕の読み方が浅いだけなんだろうと思う。しかし,「超訳」者ってのは流石こなれた訳文を書くよねぇ。参りました。弟子にしてください。(1146字)

受験英語が得意だった大学1、2年生向けのテキスト
(2005-10-23)
本書は大学1、2年生向けにつくられた「翻訳」(和英、英和)についてのテキストです。「翻訳」についての本としては珍しく、20名以上の執筆人が分担して記述しています。それ故、この手の本にありがちな偏った自流翻訳論を延々と繰り返すだとか、自伝みたいな内容が大部を占めるといった弊害がありません。また、「テキスト」ではありますが、小論集のような体裁ですから個人的に読んでも十分理解できるものとなっています。
内容は、具体的に翻訳の技法について解説するものから、「翻訳」というものが孕む様々な歴史的・社会的な問題点を紹介するといった評論文風のものまで、多彩な展開となっています。その中でも特徴としてあげられるのは、「受験英語」の再評価と「意訳」重視でしょう。「意訳」重視は今日では「直訳」に比べて優勢な位置を持つに至っていますが、「受験英語」の再評価はなかなか面白い視点だといえます。「受験英語は役に立たない、無駄だといわれているが本当にそうか」という問題提起は一読に値すると思います。
注意しなければならないのは、本書がある程度受験英語で成績の良かった者を対象としていると思われる点です。というのも、本書は成績不良者に英語上達への方法を伝授するというものではないからです。そうではなくて、これはある程度成績が良かった者が更に高度な視点をもつ為の本なのです。また、あくまで「1、2年」を対象としたものですから、すでに相当程度の翻訳論だとかに慣れ親しんでいる人には既知の事が多くて退屈かもしれません。そういった方からすれば、個々の文章の量が少ない点も不満を感じるでしょう。
というわけで、本書は(受験英語の成績が良かった)「大学1、2年生向け」としては優良な「翻訳」論の本だといえると思います。この条件から外れる人は、自己の成績だとか翻訳論との接触度に応じて、自己にとっての当書の価値を図る必要があります。

