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亀山 郁夫 佐藤 優

文藝春秋

カテゴリー:Book

セールスランキング:37553

税込価格:¥ 788  (定価:¥ 788)

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発売日:2008-04-17

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カスタマーレビュー

ロシアを語らせたら最強と思えるふたりの自由闊達な対談  (2008-10-23)
ドストエフスキー研究で知られ、「カラマーゾフの兄弟」の新訳が話題となった亀山郁夫(東京外大学長!)と、ご存知佐藤優が、知り尽くした大国ロシアについて語り合う。欧米諸国や東アジアの国々に比べ、我々一般人にははっきりと全貌や歴史が見えてこないこの超大国の、思想、哲学、宗教、文学、政治、芸術、感覚らが垣間見られ、充実した読書時間を過ごせる。
何しろ、極めつけの知識人で、ロシア通であるふたりが、自身との関わり合いから、それぞれの分野のエキスパートとして培ってきた知識、情報が縦横無尽に繰り出されるので、第2、3章では、“おしゃもじおばさん”のさじ程度の知識しか持ち合わせていない者にとっては、ついて行くのがやっとの部分も多いのだが、自由闊達なその議論が、知的好奇心をくすぐられ、最後まで退屈せずに読める。
レーニン、スターリンからエリツィン、プーチンまで、革命以後の指導者たちを俎上に挙げた第1章は、外部から見ると大層シビアに思える人々の暮らしぶりの「貧しい平等の幸福感」や、この国を担ってきた歴史的著名人の逸話も紹介されて、かなり面白い。
折りしも、亀山訳の「罪と罰」が刊行された。亀山版を読み取る道標のひとつとして、本書を読んでみるのも良いと思う。

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ロシアの闇と魂の探求から導かれた日本の病理への処方箋  (2008-08-25)
ロシアの碩学お二人の対談形式で、1861年の農奴解放からプーチン=メドベージェフ二重王朝までのロシアの闇と魂を、以下の切り口で鋭利に探求しており、時に意見を違えるお二人の常人ならざる洞察は、非常に読み応えがありました。

1.各自のロシア経験、2.カラマーゾフの兄弟を中心とした文学、3.宗教と思想(ロシア正教、ルター、カルヴァン、イエズス会、スターリン主義等々)、4.ロシアの詩人(フョードル・チュッチェフ)、5.ロシア監督映画(タルコフスキー)、6.チェコの知識人(マサリク・クンデラ)、7.音楽家(ストラビンスキー、ショスタコービッチ、プロコフィエフ等)

本書で一番重要な箇所は、以下の佐藤さんの言葉だと思いますが、我々読者へのメッセージ以外に、故人米原万里さんへの愛(哀悼)とお二人の恩師・兄貴文にあたる渡邉雅司氏(東京外大教授)への愛(強い励まし・例えるなら大審問官へのキリストのキス)をとても強く感じました。

抜粋

「我々がロシアから学ばなければいけないのは、「魂」の回復です。今の日本では、自分の魂に基づいて、責任を持って語るインテリも政治家もいなくなっている。ステレオタイプの感覚で世界を把握しているから、異質のものを見ると排除したいという欲望が働く。魂がこのように弱ることで、日本自体が弱ってきているのです。」

「亀山先生が追求している「政治と文学」は古臭いどころか、今の新自由主義の堕落が蔓延する世の中だからこそ必要とされる、極めて現代的なテーマです。今の政治家は閣僚になるのが夢というようなどうもスケールが小さな学校秀才みたいな奴が多い。政治家ならばそんな小さな夢でなはく、「全世界から貧困を一掃する」とか、「戦争を絶滅し、恒久平和を実現する」というぐらいの「不可能の可能性」に挑む大きな夢を持って欲しい。その為には、国民から託された権力を使わせてもらうという、「大審問官」型の政治家が出てくることが日本にとって重要なのだと僕は考えるのです。」

追記
本書を読む前に佐藤さんの「国家の罠」「自壊する帝国」、亀山さんの「カラマーゾフの兄弟」は読んでおくことをお薦め致します。更に、キリスト(教)の概要とチェコ、オーストリア(ハプスブルク家)の歴史ともちろんロシアの歴史を抑えていれば、より分かりやすいと思います。

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ロシアと日本は案外似ているかもしれない  (2008-07-28)
この本は、読者がインテリかどうかを試すリトマス試験紙である。宗教(キリスト教、仏教)、政治(民主主義、スターリニズム、ナチズム)、文学(特にロシア文学)、歴史(現代史)。どの知識を欠いても、読み進むことは難しい。(ドストエフスキー論がとっても難しかったので、自分がインテリからほど遠いことを強く自覚させられた。。)

集団のために個を犠牲にすることが強いられ、また強いられることを運命として黙って受容する大衆。集団的な自己犠牲がその文化の本質であるとすると、ロシアと日本というのは、良く似た社会のように思えてくる。私にとって、ロシアとは、ものすごく遠い、異質な世界だと感じていたが、案外日本と深いところで通じているのかもしれない。戦前の日本とスターリニズムのロシア、今の日本とプーチンのロシアとが重なって見える本。

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中身の濃さ、充実度+読みやすさ  (2008-05-17)
「カラマーゾフの兄弟」の新訳を訳した、東京外語大学長の亀山さんと、
元外務相で「外務省のラスプーチン」とも言われた佐藤優さん――
この対談が実現しただけでも凄いものだと思うが、中身が圧倒的に濃い。

互いの知識と考えをぶつけ合って、噛み合うところ、噛み合わないところ、
それらが「対談」という形式で、衝突の火花のように読者に迫ってくる。

私は学生時代にロシア文学をかじったが、その後ずっと文学からは離れていた。
だからロシア通でもなんでもない。
むしろ佐藤優氏の「国家の闇」「自壊する帝国」などや、
新訳の「カラマーゾフの兄弟」で、改めてロシアに関心を持ったレベルだ。

お互いがその分野のエキスパート過ぎて、やや難解に走る箇所もあったが、
対談形式による読みやすさが、それを救っている。

レーニン、スターリン、プーチン……ロシアの「闇」の部分に
充分に切り込んでいるとはいえないが、ワクワクしながら新書を読み終えたのは久しぶりだった。
個人的には、「暗殺国家」とも言われるロシアの闇について、もっと触れて欲しかった。
最近ではリトヴィネンコの毒殺、古くはスターリンとトロツキーの確執と暗殺。

ただこれらにほとんど触れなかったのは、おそらく二人の、ロシアへの愛情ゆえなのかもしれない
とも思ったりする。
タイトル通り、「闇と魂の国家」であることを言いたかったのだろう。

精神と物質――魂と闇の対立を、ロシアは乗り越えられるか、という
やや高度(?)な問いかけが、本書の最後でなされる。
「ロシアの魂」という曖昧なものに対する見解も、二人は微妙に違う。
しかしそこでギクシャクしないで読めてしまうのは、亀山・佐藤ゆえだからだろうか。

刺激的な一冊である。

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異常なまでに密度の濃い対談です  (2008-05-14)
ロシア文学者亀山氏と、元外務省の佐藤氏の対談。
対談本というのはえてして、同じような考えの人がお互いの話に相槌を打ちながら、平凡な内容がダラダラと続く、というものが多いような気がするが、本書はまったく違う。

お互いのバックグラウンド(亀山氏のロシア文学および文化全般に対し、佐藤氏の外交官としての経験と神学)の幅広い知識を総動員しながら、お互いの考えを認めるところは認めながら、異論はきちんと唱える。
そんな丁々発止のきわめてレベルの高い対談なのだ。

特に、亀山氏のレーニン廟論(レーニンのミイラが残されているのは、逆説的にレーニンが復活しないという証明)やペテルブルグ論(ペテルブルグは「鉄のコルセット」としてロシア文化を締め付けたがゆえに、多くの国で賞賛されるようなロシア文化を築きあげた)には目からウロコが落ちる思いがした。

また、佐藤氏のプーチンの大統領退任後に対する見解(ロシアでは人に権力があるのではなく、地位に権力がある。だから大統領を離れたプーチンに権力が留まるとは考えにくい)やチェコなど周辺諸国が抱えるロシアへの恐怖の正体などは、経験豊富な氏だからこそ語れる、きわめて貴重な視点だった。

と、ここでは書ききれないくらい気づきの多い一冊なのだが、やっぱりあくまで本書は「ロシア好き」がターゲット。
ドストエフスキーを始めロシア文化に対するそれなりの知識がないと、付いていくのは少々厳しいかも・・・。

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