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カスタマーレビュー ![]()
これでは戦争は起こせなくなる
(2008-09-05)
ブッシュ・チェイニー・ラムズフェルド・ウォルフォビッツなどがひた隠しにしてきたイラク戦争の実際に掛かった戦費をノーベル経済学賞受賞者のステイグリッツが克明に計算した、その内容。
ごく内輪に見積もって3兆ドル。そしてその影響は今後何十年もアメリカ及び世界の経済に負の影響を与えるとする。
そして、このような災厄を世界にもたらした戦争が何故このように無謀に開始されたのか?そのメカニズムを明らかにし、今後の防止策を提案する。
その提案は、実施されれば二度と戦争自体が起こせなくなるような提案である。
今度のイラク戦争のように、儲かるのはごく一部の者で大部分の人間は大損をするのだから、事前に克明にその計算をして、一般に公開すれば、誰も戦争を始めることに賛成しなくなると思われる。
日本でも軍備を持って自衛すべきだという議論は多い。おかしな隣国に囲まれているので、一理あるのだが、その経済負担がどれだけになるのか、事前に本書に倣って計算しておくべきだろう。
ブッシュよりも賢明な政治指導者を、日本が持てる可能性は少ないのだから。

昨今の原油高はイラク戦争にありという視点は超ユニーク・現代人必読の書
(2008-08-06)
スティグリッツ教授(2001年「情報の経済学」によりノーベル経済学賞を受賞)の最新作。今回は財政のエキスパートのリンダ・ビルムズ女史との共著だ。原題は”The Three Trillion dollar war"(三兆ドルの戦争)となっている。
スティグリッツ教授は、ブッシュ政権当初から、首尾一貫してその経済政策と世界戦略に警鐘を鳴らしてきた。この著では、イラク戦争で、アメリカのみの戦費として3兆ドルの戦費がかかる見通しだという。そしてイラク戦争が、アメリカ経済に未曾有の混乱を招き、それのみならずグローバル経済全体に混乱を生じさせたとズバリ指摘する。その上で、日米欧の相対的な力は落ち、結局、原油高を招く直接の元凶になったことを経済学の手法で綿密に分析してみせる。
私たちは、これまで原油高の主な原因を、第一に新興国の経済発展で需給がひっ迫したこと、第二に投機マネーの暴走と単純に図式化してきた。しかしスティグリッツ教授は、私たちの常識的判断をひっくり返して「石油価格の上昇は、開戦とほぼ同時期に始まった。・・・ざっくりとした計算だが、イラク戦争以降の価格上昇分のうち、ちょうど半分をイラク戦争の影響とみなし」と仮定しているとあっさり指摘する。漠然とブッシュ政権が始めたイラク戦争にいち早く支持を表明したのは日本の小泉首相ではなかったか。
現在サブプライムローン問題とイラク戦争の影響は、アメリカの国際的な地位を低下させ、その結果ドルまで暴落の危機の途上にある。小泉政権以降、特にブッシュ政権一辺倒で進めてきた外交方針が、ここに来て日本そのものの国際的地位と信用の失墜に繋がっている今こそ、私たちは現在の世界経済の動向をもっとも鮮烈に分析するスティグリッツ教授の言葉に耳を傾けるべきだ。まさに日本の政治家、ビジネスマン必読の書だ。私はこの書を読みアメリカ社会の奥深さに触れる気がした。

アメリカの支払った代償はあまりに大きい
(2008-07-20)
サブプライムローン問題に端を発したアメリカ経済の先行きが怪しくなっている。原油高も、アメリカの株式市場から投機資金が逃げ出して、もたらされたというのが通説となっている。
これは、反グローバリズムを一貫して主張し続けてきたスティグリッツ氏によるイラク戦争への批判の書である。
氏の分析によると、イラク戦争のためのアメリカが支出するコストは将来分も含めて、なんと3兆ドル(!)に上り、すでにベトナム戦争を上回っているという。
また、現在の原油高のきっかけは、明らかにイラク戦争による中東情勢の不安定化が大きい。
今のイラク情勢を落ち着かせるためには、派兵による増派しかないというのが定説のように思われるが、著者はそれも無駄なことと切り捨てる。
以上を踏まえた上で、直ちにイラクからの全面撤退を主張している。
加えて、今回の反省から同様の過ちを繰り返さないために、18の具体的な提案をしている。
これからの大統領選が見ものであるが、新政権がイラク問題をどのように取り扱うにせよ、アメリカの支払った代償はあまりに大きい。

アメリカ版特別会計
(2008-07-19)
イラク・アフガン戦争によるアメリカ経済のコストが3兆ドルに上るという事実を詳細に検証した本書。単純な駐留費に加え、帰還兵への各種ケア、累計で100万人近い若者が経済活動を離れることによるGDPへの影響、そして膨大な戦費によって抑制されるその他の公共投資の影響も含めた数字だ。当然、最初からこんな数字を出していたら開戦なんて支持されるわけがない。武器装備のストックを消尽し、正規兵から外部業者委託へシフトし、そして期間後のサポートを削り、それでも足りない分は緊急支出予算として議会を経ずに処理される。その詳細な配分は誰にも分からず、まるで日本の特別会計のよう。
巻末の提案にはしっかりとアカウンタビリティの確保がうたわれ、費用対効果の検証が提起されているが、これは日本の小泉・竹中改革で打ち出されたものと同じだ。やはり、外部からのチェックなくして、暴走は止められないということだろう。

戦争会計の重要さ
(2008-07-13)
軍事費はもともと詳細がはっきりとしない典型であるが、本書は通常発表される軍事費以外の本当のコストを戦争会計として捉え、その現実を我々につきつけている。戦争自体を正当化するコストベネフィット分析はありえず、本書の意義はどの様な政策(戦争もその一つ)を実施する上での透明性のある政策会計的な発想が非常に重要であることを主張している点。
本書の最後に出てくる18の改革提言は非常に重要な意味をもつ。
ブッシュ政権批判、イラク政策などの部分に関してはいろいろ意見が分けれる部分も多々あると思うが、上記の点に関しては文句なく参考になる。

