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潮出版社
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カスタマーレビュー ![]()
人間・釈迦
(2008-08-02)
「なぜ人は生きるのか」という疑問を10代から抱き、釈迦の教えにたどり着いたのはまだ最近。釈迦をここまでキュートな王子に描けるのは手塚さんしかいないかも。幼少のシッタルダ、アッサジ、スジャータ、子どものタッタが何とも可愛い。
仏教、釈迦の人生や思念を生き生きと描き、ユーモアやエンターテイメント性を含んだ分かりやすく親しみやすい内容は、堅苦しくなく読みやすい。
衝撃的なアッサジの死ぬシーンは恐怖と慈悲の心に泣き、それを目撃するシッタルダの感情に激しく同情し、ミゲーラを看病し続けるシッタルダに泣き、ダイバダッタの嫉妬と不安に人間はそういう所があるなど様々な感情を触発されます。
人間は醜い、弱い、美しい、優しい...人間の心は常に一定ではなく、気高く清らかに思える人でも、苦悩と葛藤と共に生きているのではないかなと。
けれど、そんな人はやはり光輝く、そして人を癒すものを持っている。
それが「慈悲」の心だと思っています...。全ての生きとし生けるものに対する愛は、自分の事の様に傷つく事が始まりなのかなぁ。

長い旅
(2008-07-06)
歩いていて、突然、周りのすべてが輝いていることに気づく瞬間があります。
そういう「世界の息づき」のようなものが、物語から飛び出してくるようなまんがです。
手塚先生からの贈り物、子供でも一気に読めると思います。
あたたかいものと、無常観のようなもの、相反する大きな感情が、矛盾なく胸の中に満ちてくる、傑作だと思います。

気軽に読める深遠なブッダの一生
(2008-05-16)
いざ仏典を読むとなるとしきいが高すぎるが、本作は漫画という媒体で気楽に読めるので、仏教に興味がある人はもちろんそうでない人にもお勧めできる。
ゴータマ・シッダルタが生まれて悟りに至る過程から最期を迎えるまでを全12巻に渡って(一部、創作を加えながら)見事に描いている。個人的には悟りに至るまでの過程が面白く印象に残った。特に修行仲間であるアッサジの最期は衝撃的。腹を空かせた狼たちに自ら身を投じることで、"犠牲"の精神を究極の形で実践してみせたアッサジ。これを見たシッダルタはショックを受けるが、その後悟りに至り、"ブッダ"となるのである。
それから2千年経った現代というこの時代を考えると、残念ながらブッダの説いた"犠牲"や"慈悲"といった精神性が尊重されているとは言い難い時代である。"お金"と"物質主義"に価値を置く現代では、むしろ蔑ろにされているのが現状だと思う。我々人類は2千年前と比べて精神的な意味でそれほど進歩していないことに本作を通じて気づかされた。
とにかく、宇宙の根源とか壮大なテーマについて色々考えさせてくれる良書なので老若男女問わず全ての人にお勧め。

大人が買っていた漫画本
(2008-01-16)
子供のころ、小学校の先生から「漫画本は読めば読むほどバカになる」と言われて
そういうものを買うのは恥ずかしいことだと感じてしまっていたころ
東京の大きな本屋さんのレジで一般書を買って並んでいると
前に並んでいた外国人の人がなにやら自分が選んだ日本語の本が本当に買うべきものだったのか
隣のサラリーマン風の紳士に尋ねたところ、その紳士は流暢な英語で答えてあげていました。
外国の人は笑顔でお礼を言って、最後に「あなたは何を買ったのですか?」と聞くと
その紳士は10冊ほどの単行本を見せて「コミックブックですよ」と答えて
相手は「それはナイスですね」と答えていました。
その紳士がまとめ買いしていたのが、手塚治虫の「ブッダ」でした。
ただ当時はその表紙だけを見て、何の漫画だかは分かりませんでした。
それから数年後、本屋でみかけたブッダの漫画を見て、是非買おうとして
あらためて表紙を見たら、あのとき紳士が買ったものであることを思い出しました。
そして家に帰ってブッダを読み終えて、自分が海外の人にも胸を張って見せられるマンガ本を
読んだことに気づきました。
私が最も印象に残っているのは、奇しくもこの全集のカバーになっているウサギが出てくる場面で
ブッダのためにウサギが火に身を投げるシーンでした。
このような漫画でブッダの教えや悩みを表現する手塚先生の業績の素晴らしさを
あらためて認識しています。
これからも、日本の、そして世界の子供たちに推薦したい良書だと思います。

ブッダの一生
(2007-12-23)
手塚先生のブッダ観が展開されています。
手塚先生の著作の特徴として、世の不条理を問う作品が多いと思いますが、この作品も
そのひとつだと思います。
主要人物が成功の絶頂で突然死んだり、「えっ」と思わせるストーリーが展開されていきます。
よく考えると現実の世界も同じであり、人が予想もできないような展開が起こるのが現実
世界だと思いますが、そういった意味で手塚先生の作品は現実世界に近いものがあると
感じます。人がこの世に生まれ、何年かすると誰もが必ず死ぬわけで、このことからしても
この世は不条理だらけだと言えます。この作品も、この世の最大の不条理のひとつである
「なぜ人は生まれ、死ぬのか」がテーマになっているような気がします。
火の鳥もそうですが、この作品の根底に流れているのは「原因と結果」という、神様が
この世をお創りになられた時から脈々と流れている法則であると思います。
想像したことが現実となる、自らの行いがいずれ自分に返ってくるなど、因果律は古代インド
のヴェーダ哲学からもみることができます。
またこの世は全てはひとつであるということも、この作品のテーマのひとつとなっています。
動植鉱物など、この世に生きとし行ける物全てがつながっています。
つながっているから因果律が働くわけで、他人を傷つけるという行為はなんと愚かな行為
なのかと、ブッダは嘆いておられます。
ブッダが苦行を否定する箇所は多少でてきますが、それほど多くはありません。むしろ、
最後の方でアナンダとの旅路の際には肯定的な見解を示す部分も出てきます。
(これは、手塚ブッダのオリジナリティーだと思いますが。)
火の鳥でもそうですが、なぜ手塚先生は中道というブッダの教えを作品に取り入れないのか、
やはり疑問が残ります。もしかすると、これは手塚先生自身が仕事という苦行に追われ、
実践できていなかったためかもしれません。
手塚先生の作品は、主人公が最後に旅に出て終わるというのがとても多いです。
この作品も例外ではありません。(涅槃後、ブラフマンに連れられてあの世に旅立ちます。)
手塚先生の人生観は、「人生は旅である」ということなのかもしれません。

