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光文社
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カスタマーレビュー ![]()
論理的で実用的です。
(2008-06-12)
小学校の国語の教科書にかかれている文書を読んで「わかった」と思ってしまうが、その「わかった」状態に著者はいろいろ文章を分析する道具を投げかけてくる。
疑問をもって再度読み直すと、その道具を使って見落としていた内容や見誤りを発見でき、あぁ「わかったつもり」だったのか...と納得させられてしまう。
論理的な「文脈」や「スキーマ」などの定義された道具を使って、「わかったつもり」のしくみと対処法、そして読解力をつけるツボを示す。と言った内容。
また、言い出したらきりのない「読みを深める」や文章の自由度についても論及しているところもよい。
主観的でない内容ですので、試験やビジネスなど実用的な場面で実力を発揮するのではないでしょうか。社会生活での正確な読解力はメリットですからね。
ただ、この枠組みを当てはめて読むスピードを何処まで訓練できるかと言うところがキモか。

読解できないのは「わかったつもり」のせい
(2008-06-04)
読解力がつかない真の原因は「わかったつもり」にある。
「わからない」状態は乗り越えるべきものであり、何らかの努力を導き出す。
一方、「わかったつもり」は乗り越えるべきものではないので、そのままである。
しかし、理解できているかというと不完全な理解である。
なかなか面白い着眼点である。
「わかったつもり」は文脈の不十分な読み込みだけにとどまらない。それだけなら問題は簡単である。ただ読み込めばよいのだから。
真に問題となるのは文脈、全体の雰囲気、スキーマといった、本来ならば読みを深めるために有益であるはずの仕組みである。
このような細かい分析こそが真の読解力の向上に繋がるのであろう。
「わかったつもり」へ誘導してしまう仕組みはすべて情報を効率的に取り込むための仕組みである。ただ単にすべての文章を丹念に分析していては時間がかかりすぎるし、結果的に理解が不十分になってしまう。
なにが「わかったつもり」の罠への誘いとなるのか、自分は「わかったつもり」になってしまっていないかを頭の片隅に置きながら読解を進めていくのが正しい姿なのであろう。

「わかったつもり」の病態生理
(2008-03-02)
本書は「文章をよりよく読むためにはどうすればよいか」を述べたものであるという。
本書を通読し、わたしの常識あるいは読書感を一変させる内容が書かれていると感じる。なぜなら、「わからない」より「わかったつもり」がむしろ理解の障害となることが本書では指摘されており、「わからない」ことが読解の最大の障害とこれまで私は考えていたからだ。そうして、自分の今までの読書を省みて愕然とさせられるものがある。
結局、本書は、「わかったつもり」といういわば理解における「中間状態」に光あて、そこを足掛かりとして読解力を深める道筋を読者に示してくれている。すなわち、これまで漠然としていた「わかる」あるいは「わからない」という状態が浮き彫りにされており、「よりよく読む」という処方箋に必要な病態生理を示したものと言える。中高生や教養課程の学生だけでなく、私のような読解力の乏しい一般成人に推奨できる。

読解力というよりも記憶力では?
(2008-02-11)
以下のレビューは、著者の言う「わかったつもり」になって書いたものであるから、参考にはならないかもしれないことを断っておきます。
この本に書かれていることからは、読解力というよりも、記憶力に重点が置かれているような印象を受ける。
例えば、「正倉院」の例題などは、問題を解く時点で、本文を読み返せないなど、読解力よりも記憶力に重心が傾いたような印象を受けてしまう。
読解力を、読んで理解する力と捉えるならば、何を理解するべきなのかという点にも重点を置いて欲しかった。著者の考える読解力とは、読んで理解して、記憶するという所まで含まれているのだろう。
例えば、簡単な文章からでも、読み取ることは多くある、わかったつもりはダメなんだということを説明するために、例文は「わかったつもり」になりやすい小学校の国語教科書から引かれているのだろうが、もう少し難しい文章を例としなければ、何を理解すれば良いのかという「文脈」すら思い浮かばず、著者の都合の良いように操られている感じを受けてしまう。
本を理解する時のポイントを知りたい人ではなく、「わかったつもり」になるメカニズムを知りたい人には、良書なのかもしれない。

大変興味深い類書の少ない著作、書き手側への注意もあればよかった
(2008-02-04)
「解釈は、記述との間で整合性がある限りにおいては自由ですが、整合性のないものは許されない」。
予想していたよりずっと面白かった。特に、大学入試センター試験問題を扱った最後の部分、5つの選択肢で答えはひとつなのに、残りの選択肢も整合性という点からは可能な解釈であるという指摘は、そうだよなー、と思った。学生時代に、この手の問題の答えが腑に落ちなくて悔しい思いをした苦い記憶が今さらだけど、ちょっと癒された。
「文章全体の雰囲気というのは、部分を大雑把に読ませ、簡単に読み間違えをさせるくらいの魔力を持っているのです」「社会的に是認されて通用性の高いものは、文章を読む際に安易に当てはめられてしまいます」。本書のこのような指摘は、統計や数字のマジックを扱った本では目にしたことがあるが、文章を扱う本では少なかった。数字に比べて、文章はそのような分析の対象にしにくいからだろう。そういう点では、なかなか貴重な本だ。
英米人なら学校で必ず習う英文ライティングでは、書き手側の責任を問う考え方が日本より強く、読み手を常に意識して誤解が生じることの少ない文章を書くことを求められる。本書ではいろいろな視点から読解力についての分析を試みているけれども、さらに踏み込んで、では書き手側が読者の「わかったつもり」を防止するためには、日本語の文章で何をどのように工夫すべきか、ということについても一章を割いて分析をしてくれてもよかったのではないか、と思った。

