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東洋経済新報社
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カスタマーレビュー ![]()
二つの因果律
(2006-06-13)
線型因果律(物理学)と同時因果律(経済学)の説明に酔ってしまいました。
物理学が、自然法則の検証実験を数多く為し得たのは、条件の制御が可能な系、つまり、
因果律に関わる変数を分離することができる系(原因→結果の関係が一方的でフィードバックのない系)に恵まれていたからである。
原因が結果を生む・・・従来の因果律(線型因果律)は、原因と結果が別々の変数であることが前提である。
一方、原因となる変数が結果をも兼ねてしまう同時因果律の場合、原因→結果→原因→・・・と無限の波及効果を生じることになる。
原因→結果の関係が一方向的ではなく双方向的であり、因果に関わる変数を分離することが、そもそも不可能な系(経済学)の場合、
複雑な系であるから実験が困難なのではなく、因果に関わる変数の分離がそもそもできないが故、実験そのものが原理的に不可能なのである。
実験的に確かめることができない上に循環論であると揶揄し、満足な説明とは到底見なさず、馬鹿にしてきた経済学を見直す素晴らしい契機を与えていただきました。
実験による検証、現実のすべてを説明しつくすことを、はじめから断念したうえで、
最適と均衡という二つの原理の上に作り出された整合理論:一般均衡論(general equilibrium theory)の醍醐味を是非とも御賞味いただきたい。

教科書の本来あるべき姿を示した本
(2005-07-15)
今更言うまでもないかもしれませんが,筆者は数学,法学,経済学を修めた権威であり,おそらくその能力故,非常に俯瞰的かつわかりやすい内容の本です。1998年初版発行の本書も今現在なお読む価値のある(僭越ながら)良書であると思います。
良かった点
・経済にうとい私でも理解できる,本質を突いた抽象的かつシンプルな記述
・経済をベースとしながらも,各種組織制度やイデオロギー(資本主義,民主主義,議院内閣制,行政府,官僚組織など)に幅広く触れながら本質を解きほぐしていく手法
悪かった点
・うーん,特に見当たりませんが・・・筆者の立場はニュートラルとは言えないかもしれないので,その主張に賛同できない方もいらっしゃるかと思います,そういう方は理屈の面では理解できても,イデオロギーが絡むと楽しく読めないかもしれません

社会科学の在り方2
(2005-04-29)
社会科学は、むしろ勉強が嫌いな人間のためにある。本当に頭の良い、一流大学を卒業できる奴は、何を考えてもすごいのだろう。だから、法学部を卒業した後に経済の総本山、財務省に入れるのだ。まともに仕事をしているかどうかはさておいて、とにかく、法学を勉強して経済を使える。意味不明である。ところが、我々凡人はそうもいかない。社会の複雑さに翻弄され、見当違いの意思決定をし、無駄な努力をしながら『結果よりも課程が大切だ』などと甘ったれたことを言っている。これから脱皮せんがため、ひとつの手段として、理由は後述するが、我々は社会科学を有効活用するべきである。本書に出てくるGNPが良い例だ。経済を分析するために、新聞の間違いや政治家のウソを見抜くために、GNPは強力な武器となる。だが、こんなこと、日常生活の中で気づくか?満員電車の中、痴漢に間違えられないように腕を組みながら『あっ!』とGNPが出てくるのか?無理だろう。ここはぜひとも、わかっている人から学ばなければ。自分で考えるより、はるかに時間の節約になる。そこで、小室直樹先生の出番である。経済学、法学、心理学、あらゆる学問を究めた、歴戦の勇士の出番である。解りやすい。面白い。使える。少しずつだが、経済が見える。勉強も楽しくなる。これこそ社会科学だ。社会という複雑なシステムを体系化し、我々の生活の糧となってくれる。これが社会科学の真骨頂である。庶民のための講座。庶民のための大学である。庶民を怒らせたら怖いぞ。バカ官僚なんて、みんな処刑されるかもしれないぞ。ところがどっこい我々日本人は、上記のような教養がないために、怒ろうにも怒れない。なにかが変だが、よくわからないので、放っておいている。もっと怒ろう。そのためには、頭の良い官僚共と太刀打ちできる武器が必要だ。それが本書である。

第7,8章には,読むべきものが
(2004-12-25)
第1章,第2章では,バブル時代,90年代不況の景気循環の話.
第3章,第4章では,需要関数,供給関数,均衡価格から始めて,
有効需要,消費関数,乗数効果,とケインズ経済学の基礎を説明.
途中,問答をはさんで,わかりにくいところを解説.
式やグラフもあり,教科書のようでもある.
第5章では,アダムスミス,マルクス,ケインズの3経済学者を比較.
第6章では,戦後の日本経済を概説.
とここまでは,ありきたりの内容か.
第7章では,日本は,自由経済とも統制経済ともつかない鵺経済だと主張.
第8章は,なぜか急に官僚制を批判.
しかし,小室本としては予定調和的とも言えようか.
日本の場合,法に基づくべき官僚制が,
封建関係を元にした官僚制になっているので,悪弊が出ているという.
不況を打破するには,官僚制を監視する機構が必要であると結論.
第7章と第8章のつながりをもっと書いて欲しいと思いました.

もとの考え方を易しく教えてくれる
(2004-01-11)
著者の意図は常に元の考え方、原理原則というものを分かりやすく説明する、といった点にあるようで、ご多分にもれず、本書もその趣旨は貫徹されています。
ケインズ経済学のエッセンス、特に乗数効果の説明は秀逸で、他書や大学での講義などでなかなかピンとこなかったその考え方が上手くイメージできるようになりました(著者は「腑に落ちる」と表現)。こうした基本的考え方を中心に据えた上で、世にあふれる経済学入門書に取り組む、といった順序が経済学の学習者には最も適当、という気がします。僕は本書を読んだ後、どうして経済学の教科書は難しく教えるのか、という良くある疑問を本当に感じました。

