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カスタマーレビュー ![]()
なんだかよくわからない
(2008-09-06)
苦味走った文体で、チクチク、ぐちぐちと、焦点の定まらない内容が、おそらく思いつきの連続で回顧・展開されて行くエッセイ。
「なんだかよくわからない」――そうかこつレビューアー諸氏は或る程度正しい、と私も感じる。
実際のところ、スカスカな部分も多い。
散発的に現れる養老氏の個人史的な部分だけが新鮮だ、とも言える。
が、結局のところ何が言いたいのか、というと、どうやら、かえすがえすも西洋個人主義の批判であり、自己同一性の批判であるようだ。その根拠は、「個性」は心的なものではなく身体的なものであり、また、個別的な身体の同一性でさえも絶えず変遷していくという明白な事実(諸行無常)であるらしい。
全共闘にはケジメが無かったと憤慨し、研究を妨害された恨みをいまだに根に持ち、『楢山節孝』が「戦後文学の最高峰のひとつ」であると称え、「日本人は(自分の人生を)生きていない」という海外からの非難に対して反論をぶつける養老氏の姿は、どこか古風なところへ回帰してしまっているようにも見える。
あるいは、極めて常識的な世間との付き合い方の肯定、に落ちついている(彼の立派な人生同様に)。
「世間」に対するアンビバレントな感情を剥き出しにしつづけながら、同時に、みごと「世間」と折り合いをつけてきた養老氏の人生の肯定談義である。
個人的には嫌いな本であるし、他の著作よりも薄味だが、それでもなお、茂木健一郎よりは、はるかに深みがあるとだけは言えるだろう。

改めて「バカの壁」を読みたくなる
(2008-06-17)
養老さんの人生論や世間への様々な発言、バカ売れした「バカの壁」に書かれていることの前提となっているものを提示した本。科学というものはどういう前提や測定方法を基に結果が出たのか、常に結果と前提・測定方法とを対にして見ないといけないので、養老さん自身の最近の言論に関し読者が科学的にアプローチしうるよう、それらを提示したとあとがきに書いてあった。
東大医学部の教授で、定年の少し前に退官されて現在はフリー。世間的には東大医学部教授だったらステイタス的に申し分ないように思うものだが、フリーになって肩の荷が降りたという気分、自分の好きなこと(昆虫に関わること)を存分にできるという喜びがあるようだ。
養老さんは立派なステータスも維持しながら結構自分の好きなことをやってこられたようなイメージを私は勝手にもっていたが、実際はそうではなかったようだ。
戦争が終わってもその後何十年もその影響を受けていたこと(一人の戦争はずっと続いていた、という表現で書かれている)、若い頃は西欧近代的自我を追い求めていた(追い求めなければいけないような世間的気分で、それに自分も乗せられていた)つもりが、気がついてみれば最近の養老さんが発する言葉は仏教のお経だったという話・・・つまり人に受け入れられる思想はその人オリジナルということはあり得なくて、個人の思想=社会の思想であること、また、どんなに変わり者でも人間として生きるからには世間の中の自分という足場に立ちながら生きざるを得ないこと、西欧人から見たら「生きていない」日本人は、実は世間の中に生きていて、これからの世界を考えると、日本人は非常に効率のよい世間をつくりあげていて、世界に対しても胸を張れること・・・・それらが養老さんが65年ほど人生を生きられて到達した結論。
まさに養老さんの他の著書を読むための視座が得られた感じがする。「バカの壁」の内容も前回読んだ時に私が汲み尽くせなかった深さがあるのだろう。もう一度「バカの壁」を読みたくなった。

「科学」としての人生
(2006-05-13)
「大学とは何だ」「研究とは何だ」「学問とは何だ」
これら三つの問いが全体を貫く、
「死から始める逆向き人生論」(帯より)。
メインは4〜9章の「大学にいた頃」の話。
ただし、時系列で書かれているわけではなく、
先生の「言明」が、その根拠の一つとしての
「出来事」とともに語られる、という形になっています。
「科学とは、根拠と言明が対になったもの」
この定義を先生の人生に適用したのがこの本。
巻末に「著作目録」が付いています。

知的興奮度抜群!
(2005-11-08)
近くの図書館で、何気なく借りて読み始めたが、余りの面白さに一気に惜しみつつ読み終わり、時に触れまた読み返したいとの思い禁じ難く、蔵書として購入した。作者の「へそ曲がりの65年の人生」が独特の切り口で平易に語られ、ある時は、「成るほど、成るほど」と共感し、又ある時は「うーん」と考えさせられたりで、兎にかく知的興奮度満点。「自分の生き方を根本的に肯定できないのなら、生きてきた意味はない。」との本書の結論は、グサリと胸に突き刺さる。

生きているって?
(2005-02-21)
この本で最も印象を受けたのは、日本人は世界的に人として「生きていない」と思われているとの一文でした。
世間を基準とした「人間」として生きていて「人」として考え行動しているか?を考えさせられました。

