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茨木 のり子 長谷川 宏

近代出版

カテゴリー:Book

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税込価格:¥ 1,890  (定価:¥ 1,890)

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発売日:2006-04

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カスタマーレビュー

エッセイは蛇足  (2007-02-20)
茨木のり子の詩に対して、長谷川宏のエッセイが明らかに負けている。いっそ不要だと思う。
例えば「いくじなしのむうちゃん!」で始まる詩「夏の声」に続くエッセイは、「いくじなしのミーちゃん」という題名。飼い猫の話だ。駄洒落とも呼べない連想で、エッセイだけを読んでも詰まらない。
ただ、茨木のり子の作品の、ある種の“傑作選”ではあるだろう。

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パトスとロゴスの絡み合いから何が生まれたか?  (2006-10-05)
茨木のり子のひとつひとつの詩を哲学者の長谷川宏がどう認識したか、を繰り返す28対のデュオである。

詩人は「さゆ(白湯)」や「鄙ぶりの唄」の変哲もない身近な対象から、「わたしが一番きれいだったとき」の戦中・戦後の歴史、私たちが文明史のどこにいるかという「問い」まで、実に広範な時空を天翔る。それに対し哲学者も、抽象的な概念の羅列では全くなく、ご自分が開いている塾に集まる子どもたちや飼い猫から島根の田舎町、スペインの町並み、学園紛争から日本や世界の歴史の駒々を語ることで相対している。

どちらかといえば、詩はパトスの申し子であり、哲学はロゴスの申し子である。それらがうまく絡み合うところから魅力ある何かが生まれることは大いに期待される。この本で、それが生まれているかどうかは、読者それぞれの読み方に依る。とはいえ、これはそれぞれの申し子が一流である証拠かも知れないのだが、おおかたの読者には魅力ある何かが見えてくるのではないか、と思われる。

大切なのは知識ではなく認識である、といわれる。哲学が現実に対し有効な力を発揮できるのは、世の森羅万象に対する深い認識を我がものとしている時であろう。詩が、人の心をうつのは、詩人が相対したものを主として感性において深く認識している時であろう。そういう意味で、このデュオは深い認識の産物を示すことに成功していると思う。

私が詩を書いてもそれにエッセイをつけてくれる人はいないだろうから、せめて、たとえば宮沢賢治の詩に対し、短いエッセイを配したデュオを作ってみようか、などとひそかに思った。

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デュオから、トリオへ。  (2006-06-02)
谷川俊太郎、大岡信、岸田衿子、水尾比呂志、吉野弘らと共に、戦後詩のリーダー的な役割を果たした茨木のり子。背筋をすっきりと伸ばし、きりりと詠われた作品で、多くの人に愛された詩人が、世を去ったのは今年の2月。

その2か月後に発行された本書は、哲学者・長谷川宏が、茨木のり子の数ある詩の中から28篇を選び、たとえば『青年』なら「孤独の顔」、『落ちこぼれ』には「劣等感」、『居酒屋にて』なら「庶民の哀歓」といった具合に、その一篇一篇に触発された思いを、難しい哲学用語に頼ることなく、自らの実体験を交えながら、のびのびと思索を展開し、エッセイに仕立てたもの。そして、詩と散文がワンセットで一定のリズムをともなって流れて行くように配列されている。その連なりのうちに、思考の衝突と共鳴が生まれ、読者の胸に快く伝わってくる。

ただひとつ、茨木のり子の代表作である『わたしが一番きれいだったとき』には、「戦争に抵抗する美意識」と題した解説を例外的に行なっている。それは詩をさらに深く理解し、新たな驚きと感動を生み出す名エッセイである。

「戦後現代詩の長女」と称された茨木のり子。全共闘運動に積極的にかかわり、やがて野に下り、ヘーゲルの研究者として、知る人ぞ知る長谷川宏。1926年生まれの詩人と、1940年生まれの哲学者には、14年の世代の隔たりがある。しかし、ともに無意味な戦争を憎み、軽きに流れる時代を憂い、自らを律することができない人間を戒める。それでもなお、たくましく生きていく人間の力を信じ、前向きに生きようとする姿勢に、2人は共通のものがある。本書が単なる詩集でもエッセイ集でもなく、「1+1」が「無限大」にも思える魅力を放っている所以だろう。

2人のデュオに、読者のそれぞれの思いを重ね合わせ、思索のトリオを形づくることで、この本の完成を見ないまま亡くなった、茨木のり子へのよきオマージュとしてほしい。

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