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無明舎出版
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立派な精神保健活動
(2003-05-26)
本書は,秋田県における自殺予防に向けて行われている取り組みを新聞記者がまとめたものである。その秋田県では,5年間続けて自殺の発生率が全国一という深刻な事態が生じているために,マスメディアや行政,地域医療などの領域からさまざまなアプローチが始められることになったのである。本書の中心には,その活動の一環として開催された自殺予防のためのシンポジウムの記録が据えられている。この問題の全体像は,このシンポジウムでの精神医学や公衆衛生の専門家の見解によって浮き彫りにされているといえるだろう。自殺と言うのは,実は決して例外的な死ではない。近年実に交通事故死の3倍となり,年代によっては死亡原因の首位を占めることすらある。全体の年次変化で深刻なのは,中高年男性の自殺率の上昇であるが,秋田で特に問題になっているのは,家族と同居している高齢者の高い自殺率である。そこには秋田県におけるお年寄りの置かれた社会文化的状況が反映されていると考えられる。これは,医療,福祉のみで対応できる問題でなく,精神保健から生活文化にまで広がる問題として社会全体で対策を検討するべき事柄である。また,自殺や重大な自殺企図では,ほとんどの例で,うつ病を始めとする精神障害の影響が関与していることが確認されている。そしてそこからは,自殺予防が精神保健の極めて重要な領域であることが思い知らされる。

