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Graham Greene

Penguin USA (P)

カテゴリー:Book

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レビュー(Amazon.co.jp)

第二次世界大戦中から戦後のロンドンを舞台にしたグレアム・グリーンの『The End of the Affair(邦題:情事の終り)』は、自己愛、他者への愛、神への愛の3つの衝突、つまりパトスの問題を描いている。ここで問題になっている情事とは、自己の世界に耽溺する小説家モーリス・ベンドリクスと義務的な結婚生活を送っているサラ・マイルズとの関係を指している。官吏をしている、サラの退屈な夫が開いたパーティーで出会った2人は、やがて変化のない不幸な日常生活からお互いを解放するようになってゆく。2人のロマンスが始まったころのあふれんばかりの情熱を振り返りながらベンドリクスはこう言う。「あのころはどちらがどちらを欲したかなどまったく問題ではなかった。2人はともに求め合ったのだ」。その言葉どおり2人の関係は数年にわたって続くが、それもある日の午後の密会までのことだった。地下室に人がいないか調べようとベンドリクスが階段を下りたところで建物は爆撃を受ける。サラが駆け下りていくと、彼は倒れたドアの下敷きになっていた。そこで彼女はとっさに神と契約を結ぶ。それまで神など特に気にかけたこともなかったのに。「彼を愛しています。彼を生かしてくだされば私は何でもいたします…彼のことを永遠にあきらめますので彼を生かしてください、一度だけチャンスをください…人はお互いに相手を見なくても愛し合うことができますね。神様、あなたを見なくても人は一生あなたを愛します」
ベンドリクスは(この物語を書いているくらいだから明白だが)死んだのではなく意識を失っただけだった。それ故、サラは約束を守らねばならなくなる。彼女は何の理由も告げずに2人の関係を断ち、ベンドリクスは事情もわからぬまま怒りを抱く。ひとつだけ考えられるのは、男ができたのではということだった。サラの情熱的な誓いについて初めて知るのは、数年後に真実を知るために私立探偵を雇ってからだった。サラ自身は奇妙とも思える論理で割りきるようになっていく。日記の中で神に宛てた手紙にこう書いている。

「あなたは私たちの別離をお望みになりましたが、彼(ベンドリクス)もそれを望みました。彼は怒りと嫉妬によってそのために力を尽くしました。また彼は愛によってそのために力を尽くしました。なぜなら、彼は私に多くの愛を与え、私は彼に多くの愛を与えたので、2人の愛が尽きたとき、残ったのはあなたへの愛だけだったからです」

彼女が信仰にそんなふうに引かれたのも、必然のなせる技だったのだろう、その引かれ方が無限だったところから見ても。おそらくそれは姦通の罪に対する罰だったのだ。晩年、サラがひたすら信仰を深めていくのは、折りしも爆撃と、神を引き寄せる自らの力に憑かれている時期なのである。『The End of the Affair』は、戦争がもたらした破壊の悲劇を背景に、苦悩をもたらす、多義的な「愛」の本質とは何かと問いかけながら、繰り返し読者の意識の扉を叩き続ける。

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カスタマーレビュー

理不尽な、大人の愛  (2007-01-16)
映画から興味を持ち、原作を読みました。
やはり映画では良く分からなかった部分に関する理解が深まりました。
読む前は、宗教的な背景等に関する知識がないと理解できないかもしれないと思っていたのですが、(実際その通りかもしれないのですが、)逆に宗教をよく知らないために、狂気的ともいえるほど信仰に傾倒していくサラに主人公ベンドリクスが感じる理不尽さやもどかしさが理解できたのではないかと思います。特にサラの葬儀が終わってからラストまでは、かなり号泣でした。
サラの夫ヘンリーの行動も、人間の弱さを露呈しているように感じる。サラの死後ベンドリクスに頼って生きる彼の姿は哀れです。しかし、彼の立場で他に誰を頼ればいいのか?独りで生きるよりは、ベンドリクスに依存する方が楽なのか?もし自分だったら、独りでも凛として生きる道を選びたい、今はそう思いますが・・
悲しく、難しい話ですが、独特の美しさがあることも事実。重く暗いロンドンの空気にピッタリです。5点献上。

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ことの終わりは大変  (2004-11-27)
この小説は「the end of the affair」というものにかかるエネルギーの大きさを描いている。サラとモーリスの不倫は、はじまったときすでに頂点に達し、「終わりへの意志」ともいうべき何かに支配されていたかのようだ。サラに奇跡をすっぽりと信じさせてしまったものは、モーリスを愛していても夫とは離婚しないという彼女の意志であり矛盾であったに違いない。モーリスを諦めたサラの心は死に、まもなく肉体的な死ももたらす。彼女の死から遡っていくモーリスがみた彼女の愛と信仰は・・・

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グリーンの真髄  (2003-05-04)
グリーンの代表作。『情事の終わり』『ことの終わり』という邦題で2度映画化されました。
誰かへの深い愛情が,神への愛へと変わっていくプロセスが情感たっぷりに描かれています。映画ではこの辺が上手に描かれていなかったような。

グリーンというと『第三の男』が日本ではよく挙げられますが,悪・神への愛・神の愛を描き出そうとしたグリーンにおいては,本書こそ代表作にふさわしいと思います。

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薄いのに重い本  (2003-04-06)
1999年に再度映画化された「ことのおわり」の原作である。人間と神への愛をテーマにした作品だ。英語はサムセットモームに通じるもので単語レベルでは確かに簡単に見えるかも知れないが、読了後にくたくたになるくらい意味は重い。200ページに足りない薄い本なのに、である。

アメリカ人の作家によるペーパーバックを読み慣れている人には、ちょっとした「しぐさ」や「出来事」を心理的に深く掘り下げるこの種類の本は、少しまどろこしい感じがするだろう。しかしそのような人でも映画と比べるとその違いを楽しめるかも知れない。原作と映画はかなり後半が異なっているからだ。
薄いのに重い本だ。

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英語はやさしいけど、深い・・・  (2002-01-02)
英語としてはすごく読みやすいです。
章の区切りも非常に短いのでベッドタイムの本としては最適でした。
そのやさしい文章の中に神への、そして人間への「愛」という
テーマがとりあげられていて、こんなやさしい文章の中に
なんて大きいものを織り込むことが出来るのだろうと作者の力量に
感動しました。

映画版は見ていませんが、「官能的」と言った宣伝文句から想像の
つくものとは異なった印象を、読んだ人は受けるのではないかと思います。

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