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Financial Times Management
カテゴリー:Book
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カスタマーレビュー ![]()
本当にある怖い話
(2007-01-28)
内容は極めてシリアスで、ふと目を上げて「金融ホラーワールド…」などと思ったりしましたが、語り口は軽快でユーモアに溢れています。数式も多少登場しますが、無視しても大丈夫(←おい)。テンポの良い著者の語りにぐいぐい引っ張られ、気がつけば複雑怪奇な金融商品の説明まで訳分からん思いながらなんとなく読んでしまえます。
派生商品発展史であると同時に「金融業界に生息するということ」についての回顧録でもあります。個人的には、「スーパートレーダー」は存在し、「quant」は超有能な頭脳集団で、「リスクマネジメント」なるものは優秀なプロが行う有効なモンなのだろうと信じていたもので、目から鱗がポロリポロリでした。最後のページに至って、人類という「阿呆船」を見つめる著者の諦念が伝染して物悲しい気分になりますが、しかし「自分にとってマーケットの不確実性は解放感だった」と半ばでの著者の言葉が物語るように、適職で能力を発揮したプロフェッショナルのキャリア談でもあるんですね。金融を目指す学生さんなどに良いのでは。
専門の方々にも興趣の尽きない内容かと思いますが、私のようにほんの数年外銀にいた程度の素人にも「そうそう」と笑える部分があります。本社派遣の駐在外国人の生態を記した部分など懐かしく思い出して改めてムカついたりと。彼らをFILTH(failed in London, try Hong Kong)と呼ぶとか当時知ってりゃ良かった。しかし最後には箪笥預金を勧める著者の言葉はどれくらい本気に取ったらいいのでしょうか?

また一人老兵が消え去り行くのか
(2006-10-05)
彼の名著swap financing だったかな、それを読んだのは1990年ごろだったと思います。私も彼と同じように、このderivativesの世界に80年代半ばに偶然に迷い込んだわけですけど、彼の教科書はいくつもの当時の新しい商品が実に見事に整理されており、非常に参考になりました。私自身はこの無法地帯を1990年代の初めに追い出されてしまいましたけど、彼はその後もいろいろな形でこのderivativesの業界にかかわり続けていたというわけです。この作品は、彼のこの業界へのswan songであり、このderivativesの歴史を初期の通貨スワップから最近のCDOまでたどることにより、不思議なそれでいて切ないほどの懐かしい香りを漂わせています。基本的には老兵の回顧録でもあり、相も変わらず収益を求め、変化し続ける業界についてのわかりやすい解説書でもあります。彼は、淡々とユーモラスに、自分が遭遇したこの業界のエキセントリックな戦友や業界の変わることのない懲りない体質を鋭く描写していきます。特にderivativesの収益のphantom性やmark-to-marketなるものの虚妄、そしてリスクは決して削減されるのではなく、ただババ抜きのババのように、ただまわし続けられているだけだということを、プライシング・モデルの限界とともにわかりやすく説明してくれます。と同時に、金融ならびに銀行という業界が、この20年の間に、もはや戻ることのできない、根本的な変化を遂げたことを痛感させてくれます。この本は必読です。

